「障子貼り」前編

 おつかいから帰ったおかあさんを待ち構えて虹子が言いました。 「ねえねえ。おかあさん。聞いて聞いて」 「帰るそうそうなんなの。あとにして頂戴。先にお肉をしまわないと悪くなっちゃう」 「今日ね。みんなの前で作文を読んだよ」 「あら。なんの作文?」  スーパーの袋から買ってきたものを取り出す手を休めておかあさん…
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「ソニー通りのジングル・ベル」X’mas短編競作企画参加作品

 二学期の終業式まじかのことです。珍しく東京にみぞれが降りました。  御殿森小学校の二年一組の教室は朝から賑やかでした。賑やかといっても、少子化のあおりをうけた一学年一クラスの二十人とちょっとの学級です。  浮かれた気分はみぞれのせいと、その日の三四時限目をつかったお楽しみ会にありました。お楽しみ会といってもクリスマス会のような…
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「毘沙門天AFFECTION」24

 西と聞いた長尾さんが月を振り仰いだ。  その空に、迂回しながら確実に近づくサイレンがあった。 「おまわりさん! あの子、刀を持ってますよ!」  長尾さんの肩から突き出たシルエットに、金切り声が上がった。見たらパンチパーマのおばさんだ。おばさんの指が長尾さんを指している。 「銃刀法違反なんじゃないんですか!」おば…
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「毘沙門天AFFECTION」23

「修ちゃん。ここで何してる?」 「おまえこそ何してる?」  修ちゃんが馬のケツを見ながら言った。  さっきまで跳ねて上げていた馬の尻尾は、ふんわりとケツに落ちていて、糞の出口をすっかり塞いでいる。 「何って。ここ、俺んちの近くなんだ」 「へえ。そうなんだ。オレはあれよ。流してたら、轢(ひ)かれそうな馬がいて」 …
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「読書感想文/X’mas短編競作しませんか?」

町を行けば、 気の早いイルミネーションに、 小説ごころがうずきませんか? そんなわけでX’mas企画します。 条件はたったひとつ。 お気に入りのクリスマスソングをイメージした作品です。 選曲したクリスマスソングから、あなたがイメージする話、です。 奮って、ご参加ください。応募要項は下記の通り。 …
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「クリスマス・ラーメン」

 待ち合わせのロータリーはすごい混雑だった。  無理もない。渋谷だ。クリスマス・イブのモアイ像は人の海を見ている。  風にさらされて、とっくに凍った。わたしの彼はまだ来ない。いつものことだ。  きゃっ、横にいた女の子が嬌声を上げた。流行のショートパンツにカラフルなレギンスを合わせている。彼女が駆け寄ったのは、B系ファッ…
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「毘沙門天AFFECTION」22

「あーっ!  おまえかあ! 確か日本代表の……」 「うん」胸を反らせた俺が、名前を思い出してくれるのを待った。 「中澤っ!」 「そー!」 「うわ、でっけっ(デカイ)。全然わかんなかった」 「俺も。修ちゃん、髪型変えたんだ」 「おう。こうすっと、阿修羅みたいだんべ」  入院中に修ちゃんは、何度も俺…
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