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zoom RSS ほんとうの読書感想文/壺井栄「坂道」〜小学生編

<<   作成日時 : 2009/08/02 00:03   >>

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壺井栄「坂道」を読んで 

6年1組 小林 香澄

 夏休みの読書感想文の本は、いつも悩みます。

 毎年わたしは、小学校の図書便りや、児童館が発行している新聞の、「学年別おすすめ本コーナー」を見て決めます。でも今年は、そこから決めませんでした。

 おばあさんの家にあった本にしたからです。

 亡くなったおばあさんの荷物を整理しているときに、お母さんが見つけた本です。懐かしい、とお母さんが言いました。

 それが、この壺井栄の短編集「坂道」です。中には17コの話が収められています。

 タイトルになった「坂道」という話は、17コのいちばん終わりにでてきます。「二十四の瞳」とともに、この作家の代表作です。お母さんが小学校のときの教科書にも載っていたそうです。

 わたしは、この短編集の中で「あばらやの星」が一番心に残りました。だからその話をします。「坂道」の検索で来た人、ごめんなさい。

 みなしごのコマツとサンゾウという姉弟が主人公です。はじめになんとも書いてなかったから、わたしはコマツが男の子だとばかり思って読んでいました。途中で気がつきました。
 二人は、お寺参りの人たちに一銭銅貨を投げてもらったり、巡礼にひとにぎりのいり豆を恵んでもらうような境遇でした。一銭は一円より小さなお金の単位です。

 読み終わって二つの場面が頭から消えませんでした。

 一つ目は、二人が大福をもらうシーンです。

 大福をやるから「ワンといえ、ワンと」醤油工場のわかい人が二人に言います。年下のサンゾウがいちはやく「ワン」と言って大福をもらったのに、コマツはだまっていました。その日はなぜか犬になるのがいやだったのです。
 それを見ていた、年をとったおじさんが「えらい、コマツ。犬になんぞなるなよ」といって自分の大福をコマツの手に握らせるところです。

 わたしは、はっとしました。おじさんは手渡しでした。ここで、わたしはおじさんのやさしさを感じました。

 やさしくないのは、近所の八百屋さんです。うちのお母さんは、その八百屋さんで絶対に買いません。
 いつかイチゴを買って千円を渡したときのことです。八百屋さんのおじさんは、お釣りの三百円を、並べた野菜の空いたところに放ってきました。台の上に散らばった百円玉を見て「あら、ここはお金を投げてよこすのね」お母さんが言ったのに、八百屋さんは知らんふりしました。それからお母さんは、八百屋さんの前を通るときは、いつも反対側を向きます。
 わたしもいっしょにいて、いやな気持ちがしました。手渡しって大事なことです。

 二つ目は、コマツとサンゾウが、このおじさんの家で留守番をするところです。

 二人に食べさせようと、おじさんがいきのいい魚を買ってきます。その魚をザルに入れたおじさんが、もうひとっぱしり、大福を買いに行っている間のことです。

 ここからは何度書いてもうまくいかないから、本からの抜き出しです。

 しばらくすると、ネコはまたやってきました。前と同じように、そろりそろりとザルのほうにちかよっている時、おじさんが帰ってきて、

「こらっ、ちくしょう」

 おじさんにどなられて、ネコはあわてふためき、とぶような早さ(原文まま)で部屋じゅうをひとまわりして窓からにげました。サンゾウもコマツもネコといっしょに、あわててうろうろしました。ネコがこわかったのです。

「どうした、ネコのばん、おいださにゃいかんじゃないか」

 そういうおじさんに、サンゾウはいいました。

「さっきもきて、さかなもっていったよ」

 おじさんはびっくりして、ザルをのぞきこみ、「しょうがないな、ネコのばんもできんのかい」

 するとまたサンゾウがいいます。

「ばんしたよ。見ていたら、そうっときてとって走ったんだよ」

 おじさんは、

「やれやれ、これからお前たちとくらすのもたいへんなことじゃわい。ネコのばんから教えにゃならん」

 といいながら、ふところから大福のつつみをとりだしました。


 わたしもネコが苦手です。フーッ! と逆毛を立てるときとか、ダッシュになるときとかがこわいです。だから、コマツとサンゾウの気持ちがわかったけど、二人がネコといっしょにあわててうろうろしたので笑ってしまいました。

 この話の最後は、二人が他の家々に電気がつくのを見ているところで終わります。

 ふたりがいっしょにながめているのは東の空でした。そこにはよいの明星が一つ、きらきらとかがやいていました。

「このあと二人はおじさんと暮らすから、きっと幸せになるね(ネタバレ!!!)」わたしが感想を言うと、お母さんも、そうね、と言いました。
 わたしとお母さんは、笑いのツボとか気が合わないこともあるけど、この本だけは意見が一致しました。

 読むと誰かにやさしくしたくなる本です。

 きっと、おばあさんの本だからだと思います。



おわり


小林さん。おばあさんのこと、大変でしたね。
小林さんが、おばあさんの家で見つけたというこの本、先生も知っています。まだ先生が小学校の頃に、先生の先生(笑)からお借りして読んだ本です。
コマツとサンゾウが生きた時代は、わたしたちが暮らす今とは違いますね。なのに、小林さんは、この話から感じとったことがあるのね。同感です。だから、先生も小林さんとお母さんの仲間に入れてくださいな。

ひとつ気になるところがありました。
17コ→17編(または篇)

6年1組担任  大矢 美恵子




――ほんとうのおわり――


お断り:文中のグレーの字は、「あばらやの星」からの抜粋です。


これは、夏休み恒例の春に約束した「あばらやの星」の紹介です。
いままでプログで書いた話の、登場人物が感想文を書く、という形をとりました。小林香澄というのは「おばあさんのミシン」の香澄です。

一昨年でしたか。「ほんとうの読書感想文」として壺井栄の「母のない子と子のない母と」を書きました。いまだにアクセスがあります。
一番人気は、意外なことに「高校生編」、ナ〜ゼ〜?次に「中学生編」、一番お薦めだったはずの「小学生編」は、人気がなくて残念〜
「たけくらべ」で読書感想文を書いたことがあります。「たけくらべ」の感想じゃないのに、800ちかいアクセスあってケツの穴が縮みあがりました。
本のタイトルをだすときは、真面目に書こうっと。

今日のBGM:キラキラ星/AOI


 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
小学生目線がほのぼのして良いですね。
読書系ブロガーさんの間でも、「夏休みになると"感想文"という検索キーワードが増える」と噂になっています。だから「小学生編」が人気がないのではなく、高校生が「高校生編」を参考にしてくれているのだと思いますよ。
こんなサイトもあります。
http://dokusyo.zemis.net/
どんな記事が読まれてるのか、気になりますよね。
うちは1〜2年前にアクセス解析を外したので、今月からこんなブログパーツを付けました。
http://bp.idea-unlimited.com/
ia.
2009/08/03 23:57
★ia.さん★
わ、ありがとう。
長めの記事でごめんね。
うん。「読書感想文」が大変なことになってます。タナボタ。タイトル変えたほうがよいね。「つるの遠吠え」なんてどお?

ia.さんが貼ってくださったURLに跳んだら、「下手な文章に一工夫」というコーナーでひっかかりました。真剣に読んじゃったわ。

人気記事ランキングかぁ。面白いな。そんなのあるんだ。どれどれ。あとでお邪魔してしまおう。ia.さんのところの人気記事って、何かしらん。
つる
2009/08/04 01:09
これ、もともと昔、自分の書いた作文があって、それを出したような雰囲気がありますね。
つるさんは子供目線で書くのがうまくて、羨ましいです!

近所のドラッグストアの女店員が手のひらにだけどちょっと投げる感じで、雰囲気悪いです。かごに入れる商品もドサッという感じで。

(この話、目次になさそうで飛ばしてましたw)
銀河系一朗
2009/09/30 19:38
★銀河系一朗さん★
あっ、見つかっちゃいましたか。なんて。
目次に載せてないのは、ももともと読書感想文というテーマが、本記事(小説)を書かないときのオマケみたいな位置づけだからなのと、文字数の制約であれ以上入らないからなんです。そのうち整理しなくちゃ。
ああ、もともとあった作文だなんて嬉しいな。6年生の雰囲気がでていたとしたら、それはひとえにわたしの文章がたどたどしくて、それが良い方向に作用したものと思われます。
それでも八百屋さんのエピソードは母の実際のエピソードなんです。それは孫の土産に買った苺だったんだけど、それがわたしの家のご近所だったものだから、それを母から聞いてからは、わたしの中でそこに八百屋さんが存在しないものとなりました。
ドラッグストアの店員さんの話もいい気持ちがしませんね。コンビにもそうなんだけど、店員さんの中には給料は労働の対価に支払われるもので、お客さんが落としていくお金とその給料を結びつけて考えてないような気がする人が多いってことなんですよ。だからそういう態度になる。ただわたしたちの世代もいけない。そういうのを見て昔のうるさがたみたいに注意ができないんだから。こういう遠慮はどこからくるのかしら。さいきん思うのよ。こういうときに憎まれ役を演じてこそ勇者オブザ年寄りなのではないかと。
つる
2009/10/02 03:33

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