ハキダメにつる

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zoom RSS 「毘沙門天AFFECTION」16

<<   作成日時 : 2009/06/06 22:59   >>

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「たわけ。正面からいきおって」

 ぴょんとルーフから飛び降りた長尾さんが俺に並んだ。

「だめなの?」並ばれた俺。

「馬は臆病なのじゃ。だから後ろから近づく。なのにそれをいつもしない」

 吐き捨てるように彼女が言った。

 アスファルトに叩きつけられた新兵衛は、黒いガムかすになってしまった。ガムの髪を嗅ぐように、青鹿毛の鼻先がふんふんとした。

「立て! 立つんだジョー!」「立てよ、おらぁ!」こびりついたガムかすに、どこからか野次が飛んだ。

 それに続く異口同音。ざわめきが広がり、現場にへんな一体感が生まれた。

「立って! お願いっ!」ヒステリックに姉貴。

「新兵衛っ!」思わず俺も。 

 _|\○_ 

 ガムかすの腰が浮き上がる。ようやく肘を付いた新兵衛が、腕を支えに強く頭を振った。軽い脳震盪(のうしんとう)を起こしていたみたいだ。

 這いつくばった新兵衛と青鹿毛が綱引きになる。青鹿毛はにおいを嗅いでいたんじゃない。持たれた手綱に動けなかった。それを握る新兵衛は、馬から落ちても手綱を離さなかった。

 新兵衛がゆらりと立ち上がって、綱引きの均衡が破れた。逆手に持った綱を容赦なく新兵衛が手繰(たぐ)る。袖のない着物から突き出した彼の腕が異様に盛り上がった。上腕二頭筋だか三頭筋だか。

 すごいバカ力だった。踏ん張っていた馬の脚が堪えきれずにタタラを踏んだ。

 馬を引き寄せた新兵衛が、今度は銜(はみ)の両端に持ち替えた。一気にそれを引き下げる。

 どうん。途端に地響き。首を支点に馬体が横転した。500キロの衝撃が、大げさではなく、風圧になって俺らに届いた。馬の四肢が無駄に空を掻く。
 見守る中から長短入り混じった指笛が飛んだ。驚嘆と賞賛。

 思わず俺と姉貴が、(ノ゜Д゜)八(゜Д゜ノ)イエーイ。

 銜を取られた馬が観念して居ずまいを直す。前脚と後ろ脚が上手に折りたたまれて「お座り」になった。

 何かに似てんよ。

「あ、ラクダ!」

 同じことを考えていた姉貴が青鹿毛を指した。

 砂漠の観光ラクダ。

 乗せる相手を待ってスタンバイ。




――つづく――




 短め。だって今夜はウズベキスタン戦なんですもの。
 馬で往生してる間に他にも書き加えたいエピソードが浮かびました。どうしてこう脱線したくなるかな。
  
今日のBGM→Mickey Mouse March (Eurobeat Version)/ S.H.
今日の動画→Spanish Stallion lying down/00:21馬のお座り?

小学生も視野に入れてフリ仮名をつけます。読みづらかったらごめんなさい。


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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
新兵衛、すごい! さすが馬の扱い方がサマになってますね。そして、その扱い方について、きちんと描写しているつるさんも見事です。この辺は資料を読まれたのでしょうか?
長尾さんも乗るのかなー。そちらも見てみたいですね(^-^)

ところで14話、15話あたりって、大幅に加筆修正されましたか? 今日改めて読んでみて、最初の印象と随分違ったもので・・・。
最初読んだときは、確か暴走族があまり出てこなくて「どこ行っちゃったのかな」と思ってたんですが、今読み直してみたらバリバリに出てきてましたね。ちょうど「暴走族とか厩舎の関係者とか、脇役陣をもっとちょこちょこ出したほうがいいんじゃないか」みたいなお節介を書こうかどうしようか迷ってたんですが、杞憂に終わりました。これで実は、最初読んだときにぼくが脇役陣の登場シーンを読み落としていただけだったら、すみません(^-^;)
shitsuma
2009/06/07 23:23
★shitsumaさん★
来てくださって嬉しいな。
え〜よくぞ聞いてくださいました。馬はぶっちゃけ隆慶一郎「一夢庵風流記 」にでてくる前田慶次郎の愛馬、松風を参考にしようと思いました。大した馬なのよ。でも無理だった。文章にもキャラがあるから、自分の文章に置き換えるのは難しかったんです。だから<今日の動画>にupしたYouTubeからイメージを膨らましました。
>14話、15話
するどいなあ。いつも過去作をいじくり倒します。時間が経つといちいち気に入らないのね。記事のストックを持たずに自転車操業でupするとこうなるという悪い見本です。2年書いて思ったのことは、大事なのはヘタでも話を書ききるってことだわ。そうしないと全体のバランスがわからない。
暴走族もおみそれしました。ちっとだけ絡みがあるの。だから何だっていうエピソードなんだけど、そういう小さなことの積み重ねがラストの主人公に反映されます。てかそうなるはず。なるといいな。ブレそうで心配。
つる
2009/06/08 02:30
さすが、馬をも倒す荒武者新兵衛って感じですね。
>黒いガムのかすがこびりついたみたいになった新兵衛。
>_|\○_ 
 ガムかすの腰がようやく浮き上がる
リアルにアスファルトにこびりついたガムが、にゅっと持ち上がるのが浮かびました。
ここの表現、そして絵文字がなんともいい!
細かいとこですが。
つるさんの描写力には参ります。まるで本当に青鹿毛を扱ったことがあるかのようで、思い入れがひしひしと伝わってきます。
次は長尾さんの番かな?
来る度にストーリーが変わっているので、それも楽しみです(*^^*)



rain
2009/06/08 09:09
★rain
あ、ほんとうですか?新兵衛は、前回がふがいなかったから、ここで名誉挽回です。彼がすぐに立ち上がらない様子をダイレクトに書くより、一旦他のシーンに振って、そういう時間の経過がだせたらよかったんだけど、逆に描写が散漫になった感じもするんです。それでもそんなふうに仰ってくださってよかったです。
絵文字は調子こきました。
そうそう。つぎは長尾さんの番です。やはり、書かれる方はするどいからヒヤヒヤします。          
つる
2009/06/10 01:58
【お知らせ】
リンク先の皆様へ
いつも来てくださってありがとうございます。
よんどころのない事情で、しばらく更新をお休みします。訪問もなかなかできないかもしれませんが、お許しください。
つる
2009/06/10 02:03
さて、長尾さん、馬に乗って何をするのか、楽しみです。

隆慶一郎「一夢庵風流記 」いいですよね!
マンガになって、パチンコ台にもなってると知ったら、天国でさぞかし驚いてるでしょう。案外、喜んでるかも。
銀河系一朗
2009/09/10 23:37
★銀河系一朗さん★
いつもありがとう。
馬に乗って西に行くのよ。仏教では西方に極楽浄土があるとされてますから。なんちゃって。西に大井競馬場が位置してます。
前田慶次てパチンコになってるの?豪傑な人物だったみたいですね。「一夢庵風流記」は面白かったですよ。隆慶一郎の手にかかると、彼のしたたかな一面もなぜか納得して読めました。それと、骨太な文章。なぜか、書写の太字をイメージしました。いま、はまってる稲見一良もそうだけど、女性には絶対にだせない味ね。。ああそう、ぜんぜん関係ないけど「ソー・ザップ」面白いですよ。わたし、ハードボイルドが好みみたいです。知らんかった
つる
2009/09/12 01:50

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