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zoom RSS 「高円寺物語」16

<<   作成日時 : 2008/10/15 00:02   >>

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「高円寺物語」16 

「前にみーに言ったことあったよね。わたし、中学まで太ってたって」

 うん、とあたしは頷く。薄く聞いた記憶があった。

「ダイエットしたことも言ったよね」 

「うん」そうだった。親に協力してもらって食事療法とかいろいろやったとか言ってた。痩せた今でも、太りやすい体質だから気を抜けない、って言ってる。
 でも女の子は月に一度だけ、どうしても甘いものが欲しくなる日がある。そんなときは、2人してファミレスのデザートフェアなんかに平気で行ってたし、あたし的にはそんな深刻なこととして受け止めていなかった。

「何キロ痩せたか、言ったっけ?」

「言ってない」

「20キロ」

「そっ、そんなに……」びっくりしてあとが続かない。

「変わったよ」

「だ、だろうね」

「まわりが」

「まわり?」

「そう、まわり。特に男子。それから女子。そのとき思った。デブに人格はなかったんだって」

「やだー、考えすぎだよ」

「ううん。考えすぎなんかじゃないよ。それが現実。まず男子が、わたしを見る目が変わった。あからさまだったよ。でも、まだかわいかった。わかりやすくて。かわいくないのは女子だよ。
 初めは口だけのダイエットだと思っていた友達が、わたしがどんどん痩せてくると、よくやるよ、て顔になってった。それまでは、グループの中でわたしが毒を吐いても、けっこう許されてるようなところがあったんだ。それが、いちいち突っかかってくるようになった。それって、なんでだと思う? 自分たちと対等になったからだよ。そうなるとどうやら感に触るらしいんだ」

 言ってるうちに志乃の目が街灯を映し出してキラキラとした。

「そ、そんなあ」

「ううん。みーにはわかんない。はじめから痩せてる人にはわかんない。こういうの」

「胃下垂なんだよ」

 胃下垂に目だけをくれて、志乃が続けた。

「友情は喜びを2倍に悲しみを半分にする、って小学校の先生が言ったけど、あれ、嘘だね。人って他人の喜びを素直に喜べないんだ。わたしから言わせれば、喜びを無に悲しみを増幅(ぞうふく)させる、だよ」

「……」

 極論を口にする志乃は、それだけ傷ついた。でもそんなの友情じゃない。

「今ならわかる。ダイエットがうまくいってわたしも調子に乗ってたんだと思う。わたしだってそんな奴がいたら、きっとそう思うよ。でもそのときは、わからなかったんだ。
 それから黙った。余計なこと、言わないようにしたよ。でも遅かった。気がついたら完全にグループから浮いてたんだ。あ、でもね、表面上は大したことないの。けどね、陰で言うの。そんなのすぐにわかるよ。気がつかない振りした。卒業まであと半年ってときに、いまさらグループ変えでもないもんね。
 そのうち、他の子たちが大っぴらに、わたし抜きで学校見学に行ったり、志望校の願書を取りに行ったりし始めてさ。それからは、ドーハの悲劇だよ。ちょっと辛かった……」

 言っているうち震え声になった彼女が大きく息を吐いた。気を取り直して続ける。

「だから、高校に入ったら、うまくやっていこう、って決めてた。グループに入ったら、調子に乗ったり、人と違うことをしない、って決めてたんだ。したら、みーのあの発言。すごい、て思った。誰だって自分にできないことをする人を見たら、そうじゃん。
 それで、みーと友達になりたくなった」

「え〜、そうなの〜?」

 あたしの失敗を、そう受け取める人もいる。 

「それに、カンゼンスウのことで、見た目で判断しない子だって、(みーのことが)わかったし。祐太はそういうみーのアニキだからね。きっと他の男子とは違う。そう思ったから、つき合った。いけない?」
 
 いけなくなんて全然ない。

 うまい言葉がでなくて、ううん、と頭を振った。

 でも、

 アニキは、断然、見た目だ。

「……だから、その分、後輩と仲が良かったんだね」

「ううん、それも違う。確かにバトン部で知り合いだったかもしれないけど、わたしが小兵に入ったって知ってから、向こうから連絡してくるようになったんだ。タカ・トシ情報が欲しくてさ。わたしもバカだよね。デブってたときの写真をバラ巻く、言われてビビったんだ。言われるまま送ったよ。
 でもさ、少しずつだけど、わたしだって進化してる。そんなハッタリに負けないって。だから、送信を止めた。それに、みー」

「あたし?」

「タカを気にしてる」

「やだあ、気になんかしてないよ。ゼーンゼン(全然)」振る手がオーバーになった。

「ほら」それがその証拠だよ、彼女の人差し指がこっちに向いた。


「あのお〜、阿波おどりってもう終わったんでしょうか?」 

 いつまでもガードのそばで立ちんぼうのあたしたちに話しかけてくる人がいた。




――つづく――



つる「書けたよ!」
担当編集者「お、早いですね」
つる「うん。だって明日はウズベキスタン戦だからさ。アップどころじゃないもの」
担当「あー、そーですか(棒読み)」
つる「お知らせでーす」

『2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選
日本代表vsウズベキスタン代表』
【日時】
2008年10月15日(水) 19:30キックオフ(予定) (16:30開場予定)
【場所】
埼玉スタジアム2002
【テレビ放送】
テレビ朝日系列 (直前番組)19:00〜19:30 (試合中継) 19:30〜21:35
        
担当「こっちが本記事だったりしてな」


 今日のBGM→クリック。笑顔を忘れてしまった君に


 小学生も視野に入れてフリ仮名をつけます。読みづらかったらごめんなさい。


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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
そうか〜そういうわけがあったんだ。
人って臆病になるからね。
同じ過ちを繰り返さないように、
同じ思いをしないようにってね。
それに「気にしてない」って言うってことは
まだ気にしてるってことだとも思うよね。

>アニキは、断然、見た目だ。
 なぜか超ツボだった〜ウケタ(爆)


2008/10/15 08:09
舞さん、いつもありがとう。
そうなのよ〜。人って臆病も学習するのよ。まあ、中にはそういうのが身につかない奴もいるけど、誰よ、わたし?
>気にしてる
ほんとね。何で気にし始めると、行動が不自然になってしまうのかしら。自分で自分を縛る、一人トリックだわ。
つる
2008/10/15 23:34
そういう理由でアニキと付き合ってたんですね。
恋する女は鋭い!瞳ちゃんも「タカが好き」って認めちゃって、協力してもらえばいいのに(笑)
でも素直になれなくて焦ってる様子も可愛い♪
ia.
URL
2008/10/16 00:48
ia.さん、いつもありがとう。
そうなんです。こういう理由でした。何でもそうだけど、判断て難しいですよね。
協力ね。それも少し考えた。あるとしても少しかな。基本的に自立してる子が好きなんです。この子たちも、もたれ合わないように書けたらいいんだけど。だから、主人公には、できるだけ一人で頑張ってもらうつもり。つめたいかな。
つる
2008/10/16 22:56
デブは痩せても後々発言や態度に普通より気をつけないといけないんですね。おとろしいw
裏サイトとかもそういう発想なんだろうけど、どうして身近な同級生にそこまで陰湿なのか理解に苦しみます。
そこで学習した志乃の付き合う基準が素敵でした!
銀河系一朗
2008/10/20 00:09
銀河系一朗さん、いつもありがとう。
志乃の場合は奇麗になっちゃったからね。そう思われちゃったわけなんです。こういうのは他についても言えます。貧乏人が成金になったりすると、そうでしょ。人のサガよ。
そうそう、アレも嫌ね。「苦労がなくていいわね」これって羨ましがってるようで皮肉なのよね。やだやだ。そして、こういうこと考えてしまう自分もやだやだ。
本能っていうか、女性は巣を守る為に、基本、家族以外は敵らしいですよ。その点が男性と大きく違うね。男性は社会に目がいくもの。
つる
2008/10/20 01:05
僕も今年に入ってから20キロ痩せたよ。でもそんなに見た目は変わらないんだよなぁ。相変わらずゴツイらしい^^;
レイバック
2008/10/28 22:28
レイバックさん、いつもありがとう。
ええっ!すごい!どうやってどうやって?男性のダイエットって女性のそれとは違うと思うの。興味あるなあ。弟なんかもっぱら筋トレですよ。でも、女性は筋トレに比重をおかないですからね。
20キロ落としても、まだゴツイレイバックさんて、どんななんだろ。


この話で志乃が落とした体重、20キロと30キロで悩んだんです。見た目が激変するのは、やはり30キロくらいだものね。そっかー、やっぱり30キロにすればよかったなあ。
つる
2008/10/28 23:45

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