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zoom RSS 「マックの恋人」1

<<   作成日時 : 2008/03/22 23:13   >>

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「マックの恋人」1

 わたしはお兄ちゃんが嫌い。
 嫌いな理由? それは、お兄ちゃんがわたしを嫌いだから。
 自分を嫌ってる人を、好きになれる人間なんていない。当たり前の話だよ。
 じゃあ、何でお兄ちゃんはわたしが嫌いなのか? 答えは簡単。それは、わたしがブスだから。




 そんなわたしにもナンジャラホイ高校に入ってから、カレシができたよ。バスケ部のポイントガード(PG)、五十嵐君だ。彼のスリーポイントが決まるたびに体育館がざわっとする。彼のシュートはリングに触れずにパスン! って、ネットを揺らすから。そりゃあカッコいいよ。
 だけどそんな彼がわたしを選んだ理由は、よく知らない。

 雨の降りそうな土曜日。
 わたしは、練習を終えた五十嵐君と駅前ロータリーにあるMのマークの店にやって来た。そう、あの“T’m lovin’ it”のお店だよ。

「いらっしゃいませー」
 まずは席を確保だから、いつも座る席に向かった。
「うわ、やだ!」
 驚いて小さく呟(つぶや)いた。奥の窓際に彼女連れのお兄ちゃんがいたのだ。
 こちらに背を向けてるけど絶対そう。お兄ちゃんの髪はいつも左だけ耳の上ではねている。
「なんだよ?」と五十嵐君。
「う、ううん。なんでも――」

 ないわけない。でも言えない。
 わたしは彼に秘密にしていることがあった。それはわたしに年子のお兄ちゃんがいて、なおかつ同じ高校にいるっていうこと。なぜ内緒なのかというと、お兄ちゃんはサッカー部だからだ。
 五十嵐君はサッカー部が嫌いだった。それは高校サッカーに比べて、高校バスケがメジャーじゃないから。ただのやっかみってやつ。
 でも、例え彼がサッカー部に偏見がなかったとしても、お兄ちゃんのことは言わなかったと思う。だって彼といる時に、お兄ちゃんの話をする必然性がないからね。

「ねえ、ねえ。と、となりの“モスラバーガー”にしない?」
「めんどくせえよ。でてくんのおっせーし、シャカシャカチキンもねえし」
「そ、そうだね。そうでした」

 彼はお兄ちゃんから二つ手前の空いてる席にサッサと座った。お兄ちゃん達の会話が聞こえそうで聞こえない微妙な距離だ。
 向こうは何を喋ってんだろう。こっちは五十嵐君の声がデカイから、いつお兄ちゃんたちに気づかれるかヒヤヒヤしてる。例えばこんな調子。

「オレ、いつものなっ」
「わかってる」
「あ、この前みたいに忘れんなよ!」
「わかってるって」
「おまえ、ほんとドジだからよお」

 口が悪いのは愛情の表れだ。部活で疲れている彼の為に注文に行くのはわたしだ。精算もわたし。まあ、いつものことだ。そんな愛で彼を支えている。

 立ったついでにお兄ちゃんの方をチラ見した。
 お兄ちゃんの彼女は……うーん、まあ、ふつうかな。ちょっと足が太いかな、て通路にはみ出たそれを見て思う。人のこと言えないけど。
 でも、あれよ。お兄ちゃんだって顔はまあまあだけど性格が悪いから、そのへんはお互いさまってところだろう。

 注文の列は混んでいた。

 ――いるだけでムカつく。早く帰ればいいのに。

 帰れ! 帰れ! わたしは並んでる間に念を送る。一人シュプレヒコールだ。




 お兄ちゃんとはもう何年も口をきいてない。

 小学校まではそうでもなかったと思うんだけど、あれはお兄ちゃんが中学になったくらいかなあ。わたしに対してよそよそしくなったんだ。
 それでもお兄ちゃんの友達が来てるときなんかは、中学生に興味津々(きょうみしんしん)だったから、おやつの差し入れを口実に、その部屋に行ったりしてたんだ。
 ゲームしてる時だったと思う。いきなりお兄ちゃんがわたしに「あっち行け」とか言ったんだ。「もうこっち来んなよ」とか怒った。たぶん友達がわたしのことをブスとか言ったんだと思う。わかるよ、そんなの。だって、みんながニヤニヤしてたからね。悔しかった。それきり行かなかったよ。
 友達が帰った後で、お兄ちゃんが「コンパス貸して」とか「ジャンプ読む?」とか部屋に来るんだけど、わたしは返事をしなかった。返事をしたら許すことになるからね。
 謝るまで絶対に許さないって決めた。だけどお兄ちゃんは謝らなかった。
 ちょうど良かったんだ。こっちは嫌われてまで口を利(き)いてもらおうとは思わない。喋らなければ傷つかなくて済むだけだよ。

 してまぁ、なんとなくそのまんま今に至る。



<つづく>


 

担当編集者「ブ、ブスて……」
つる「悪いか」
担「ブス、主人公になりますかね〜」
つる「たまにはいいだろ」
担「確実に男性読者、退(ひ)きますね」
つる「あ〜そういうので人間性でるね。やだやだ」
担「人間性言われちゃうと」
つる「読むだろ」
担「そうきたか」
つる「うん」
担「あ〜早く妹に『萌え〜』って――」
つる「しないと思うよ。そういうんじゃないから」
担「ソウナンデスカ」
つる「そうなんです」


 今日のBGM→クリック。マーチだよ。


 年齢を問わず読んでいただきたくてお目障(めざわり)かもしれませんが読み仮名を付けます。

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コメント(12件)

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なんか・・・・・・悲しい予感

五十嵐君っていいやつなんだよね?
そうだよね!?

孫琳
2008/03/22 23:29
修羅場りそうな雰囲気が漂ってますね。

>こっちは桜井君の声がデカイから
……桜井君?

URL
2008/03/22 23:40
五十嵐くん。不穏な空気を醸しだしてるなぁ(汗)怖いよー。携帯小説的な展開になったらどないしよ……。関西はマクド^^
レイバック
URL
2008/03/23 00:14
いんや!今回は悪いけど五十嵐君に悪者になっていただきます。
全国の五十嵐ファンのみなさん、ごめんなさい。
http://www.hitachi.co.jp/
sports/sunrockers/team/
gallery/2054881_31667.html
つる
2008/03/23 00:21
きゃあ。鯨さんには二つ先くらいまで見えちゃってるみたい。いつもありがとう。
そして、お話は、まんまと皆さんの思惑通りに進んでゆく〜
>桜井君?
ま、間違いました。しかも桜井君も違ってるし。桜木君だったんです。でもできなかった。「スラムダンク」ファンのわたしには、桜木花道を悪者にすることは、できなかったんです。
つる
2008/03/23 00:30
あ、レイバックさん、なんか、このお話、もう終わりでもいいかしんない。期待を裏切れる要素がナッシングゥ〜。(江戸はるみ風に)
>五十嵐君
しょっぱなに匂わせとかんと、どないもこないもならしまへん。
>携帯小説的な展開
って何?セオリーがあるの?
あっ!やだ!わかった。チゲーヨ。禁断の恋とかナイナイ。
>マクド
知ってる知ってる。こっちの方はね、「マクド」に市民権はないみたいですよ。思わず口にしちゃった人は小さ〜くなってます。
つる
2008/03/23 00:48
あ、噂の「五十嵐」くんだ!
お兄ちゃんと妹って、ある時期、よそよそしくなる観たいですね。なんかビミョーで面白いです。
私も「マクド圏」なので、外人の恋人かと思いました(笑)
ia.
URL
2008/03/23 03:02
iaさん、いつもありがとう。
五十嵐君、使っちゃいました。
>お兄ちゃんと妹
前から書きたかったんだよね〜。そのビミョーな距離感を書けるかどうか、わからないけど、いつものように少なめの会話で「気づき」をテーマに書いてみます。足りないところは又、皆さんの想像力をお借りすることになるでしょう。毎度のことで恐縮です。
>マクド
文化の違いって大きいよね。以前、タレントさんが東京の男の人の「〜でしょう?」「〜しませんか」っていう言葉遣いをオカマと思ったそうです。慣れちゃうとそうでもないんだけど、逆にわたしは「〜だぜ」にヤられちゃいます。まあ、滅多に聞くことはない。人生に二度ありましたね。
つる
2008/03/23 15:29
そうか〜マックは関東圏ですもんね。
私はちゃんとわかりましたよ。

笑っちゃったのが
『帰れ、帰れ』と念を送り続けたってところ。
私もよくやります。

兄と妹今後の展開気になります。
思春期ですからねぇ(汗)

URL
2008/03/24 15:26
舞さん、いつもありがとう。
タイトル。全国共通するよう、もう少し捻れば良かったかな。いつも頭を悩ますところだわ。
>私もよくやります。
そんな人いるんだ。それを知ったらショックでしょうね。
>今後の展開
思春期はいいですね。遠慮がありますもん。容赦ないところもあるけど。まあ(汗)がでるような展開だけにはならないと思います。いつも通りよ。
つる
2008/03/24 21:34
ブスって差別はかなりありますよね。
でもあまり表面化してこない。
卑怯ないじめですね。
小学生の頃、同級生が口に出して言っても、私は心の中でも言わないように努力しましたよ。
銀河系一朗
2008/03/24 23:47
>私は心の中でも言わないように努力しましたよ。
ちょーーーーーポイント高いです。女性ブロガーさんの心をワシヅカミなさいました。銀河系一朗さん、いつもありがとう。
この女子高生はね。たぶん、そう思い込んでるだけなんですよ。なんかそのへんうまく書けないかもしれない。
たかが面の皮一枚と思うんですけどね。女性は運命が変わりますからね。ブスは損です。でも、何かで言ってたなあ。ほんとのブスってそうそういないんだそうです。美人がそうそういないように。

つる
2008/03/25 00:29

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