ハキダメにつる

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zoom RSS 「マックの恋人」3

<<   作成日時 : 2008/03/28 22:03   >>

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「マックの恋人」3

 水を貰おうと列に並んでると、お兄ちゃんの彼女がフロアを横切って店を出て行った。

 ――ありゃりゃ、喧嘩? だったら、いい気味。

 たぶんお兄ちゃんが怒った。怒りんぼなのだ。すぐ怒るし怒ると黙る。だけど黙った時はほんとコワイ。そういう時には逆ギレで対応するのが一番。だから彼女が席を立ったんだ。それ、正解ですヨ〜。
 席を見ると、お兄ちゃんがふんぞり返ってる。追いかけない。そりゃそうだ。お兄ちゃんは足が遅い。学童の手つなぎ鬼の時だって、いつもわたしがイットー始めに捕まえるのは、お兄ちゃんだった。

 人の不幸は蜜の味。なんかウキウキしちゃって席に戻る時にヘタこいた。
 バシャ! 派手にすっ転んで、水と氷を通路にブチ撒(ま)いた。「てへへ」苦笑いしながら席に戻る。 

「うひゃーっ! 恥ずかしーっ! こっち来んな!」

 ボカン! このドジ、と言わんばかりに、トレイで頭をはたかれた。

「イタタ」

 さすがに痛い。心も痛い。「こっち来んな」は、お兄ちゃんに言われて以来トラウマだ。

 ガッシャ〜ン! 

 きゃぁああ、と言う悲鳴が店内を走った。まるで後半の32分、バーレーンに先制を許したようなサポーターのそれだった。
 目の前の五十嵐君が小テーブルを抱えたまま、のけ反っている。

「い、五十嵐君!?」

 何が起きたかわからな〜い。

 わたしの前に足がある。PKを振り抜いたみたいな足がある。横にお兄ちゃんが立ってた。この人、口より先に足が出るタイプ。
 それからお兄ちゃんは、わたしの頭に乗ってるお盆を持ち上げると、五十嵐君の頭に振り下ろした。

 バゴッ! ギャグみたいな音がした。

「っざけんな! 女、なめてんじゃねえっ!」やっと口。何というラフ・プレイ。一発退場のレッドカード並みの反則だ。

 ポカンとしたわたしは、この反則男に襟を掴まれる。まるで耳を持たれたウサギだ。あ〜れ〜。
 そのまま入口のドアを蹴り飛ばしたこの男に、表のロータリーまで引っ張り出された。

 とゆうわけで、ロータリーはウサギバーサス(VS)反則男のファイティング会場と化す。
 わたしの彼を足蹴(あしげ)にした憎い男。そうだよ。いずれこの男とは白黒はっきりさせなきゃいけない日がくるって思ってた。それがたまたま今日というだけのこと。カーン!

「ちょっと何すんだよ! 離してっ、離せつーの、バカ!」
「ははっ! よわっ(弱い)。それマジで?」

 マジで暴れるんだけど、この男は手を離さない。わたし、池乃めだかのコントみたくなった。おかしい。
 弱いはずのお兄ちゃん。小学校まではわたしの方がずっと体が大きかった。腕相撲だって勝ってたんだ。本当だよ。左手限定だけど。

「とおっ!」体当たりだ。それでもお兄ちゃんは倒れない。てか、フィジカルつえっ。(強い)
 くそぉ。目には目を、歯には歯を。ラフ・プレイにはラフプレイを。

「えいっ!」
「あぶねっ」

 ちきしょー。踏んでやろうと思った足がかわされて、右足が虚しく地面を踏んだ。

「やっ!」
「おっと、おまえの○ンコ蹴り、勘弁」

 キックに飛びのいたお兄ちゃんと距離ができた。もうひとつの得意技もかわされて、こうなったら口で勝負だ。

「バカ、アホ、クソ、シネ! 何さ、彼女にフられたくせに! うわぁ、カッコわりぃ。みじめだーっ!」
「ほっとけ。おまえこそあんな男がいいんだ」
 カーっ! 頭きた。「いんだよ! アンタに言われたかないし、アンタに彼の何がわかるのさ!」
「じゃ、何で泣いてんだ」

 ウサギの目は赤いようだ。頬に触れると濡れていた。

「雨だよ、雨。人の顔ジロジロ見てんじゃねえよ」

 だって、いつのまにか敷石の色が濃くなって、本当に雨だったんだ。

「あ」

 お兄ちゃんがわたし越しに何かを発見する。それでわたしが振向くと、店から頭を押えた五十嵐君が出て来るところだった。

「行くぞ!」言った瞬間、わたしはお兄ちゃんに手首を掴まれた。「ちょ、ちょっと」そのまま走られた。

 た、たすけて〜、みなさ〜ん、この人ストーカーで〜す! 


 そのまま商店街を抜けて川沿いのレンガ敷きを走った。サーと後ろから細かい雨がカーテンのように引けていく。

「あたたた、ひっぱんないでよ!」

 雨粒が川面をたたくと小さな波立ちが起こった。

 心の中にも雨が降る。たくさんの波立ちが起きている。 
 


 すげー、なんですけど。




<つづく>



学童クリック。学童クラブ。自治体にもよるが概ね小学校3年生までの児童対象。地域の児童センターなどで、学校を終えた放課後、もしくは学校休業日に過ごす場所。
イットー始め→一番始め
バーレーンクリック。
ラフ・プレイ→【rough play】 ラグビー・サッカーなどの試合での乱暴なプレー。参考URL
池乃めだかクリック。



担当編集者「いいんですかねえ」
つる「何が?」
担「パンツとかスケベとか」
つる「何で?」
担「また、へんなトラックバック、来るんじゃないですか。それ繋がりで」
つる「ハッ! そうだった、忘れてたよ。前に「尿」で大変な目にあったんだった。パンツ、何回書いたかしらん」
担「パンツは、えっと、ああ、今のボクので5回です。ちなみにスケベ3回」
つる「きゃ。パンツ5回、スケベ3回も書いちゃったの?」
担「今のセンセのパンツで6回、スケベ4回です」
つる「今の羽鳥君のパンツで7回、スケベ5回じゃん」
担「今のセンセのパンツで8回――」以下エンドレス。ああ、どうしようw。


 今日のBGM→クリック。トランスアレンジ。


 年齢を問わず読んでいただきたくてお目障(めざわり)かもしれませんが読み仮名を付けます。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
兄貴は素直じゃないな。妹が心配なんだろ?
( ´∀`)σ)Д`)
池乃めだかの「今日はこれくらいにしといたらぁ」は新喜劇の定番ですね。

URL
2008/03/28 22:48
おお!兄ちゃん、かっこいい〜!どうせならシャカシャカボーイをもっとボコボコに(笑)
次回、パンツは何回出てくるのかな?そのあたりにトラウマがありそうですね。
ia.
URL
2008/03/28 23:33
お兄ちゃんいいじゃん。兄の心、妹知らず。兄妹設定の話には弱いんですわぁ。火垂るの墓なんて、もう見れるわけねー!みたいな(笑) 今回はかなりアップテンポな展開でしたね。漫画的なシーンで楽しかったです☆
レイバック
URL
2008/03/29 01:12
鯨さん、いつもありがとう。
兄貴もなんだけど、妹もかなり素直じゃないんです。わたしも年子の姉弟なんですけど、小学校までは対等にやり合ってました。ケンカするんですけど、相手のことが気になって仕方ないんです。ハナにつくんです。双子だったら、また違うのかな。
>池乃めだか
最近、カッコイイおっちゃんだな、って思います。
つる
2008/03/29 01:31
ia.さん、いつもありがとう。
ええっ?もっとボコボコ。ヒトゴトだと思って。
つい、こういうシーンを書いちゃうんだけど、ふつうの文がタラタラ続くと脳が破裂しそうになっちゃうのよね。だけど、暴力を奨励してるわけでは決してないんだ。現実にできないから書いて、うさばらしかな。
>パンツ
心配だから、トラバは保留扱いにしてます。
そうなの。トラウマの結末がうまくまとまるといいんだけど。ちょっと力不足を感じています。
つる
2008/03/29 01:42
レイバックさん、いつもありがとう。
このお兄ちゃんに心配してもらえるほど、妹がかわいく書けてないのがネック。
>火垂るの墓
これ妹がいなくてもだめみたい。いたらもっとだめかも。
>アップテンポ
五十嵐君に追いつかれたら、と書いてても気持ちがはやりました。急ぎすぎ?
>漫画的なシーン
おかしいな。文学的な作品のはずなのに。(なわけない)
でも、楽しんでくださって良かった。
つる
2008/03/29 02:05
ありゃ〜これまた大胆な。
「パンツ」書きすぎだよ(爆)
でもお兄ちゃん、本当は妹が可愛いのかな。

池乃めだかシーン、想像してはまっちゃいましたよ。

2008/03/29 06:39
舞さん、いつもありがとう。
パンツ、どうなるかね。今のところ大丈夫みたいです。ヘタな言葉、使えないなって思います。
お兄ちゃんも妹も思春期だし、アマノジャクなんです。だいたい、素直じゃない書き手が、素直な子どもなんて書けるはずがないんです。でもこうしてみると、作中の男の子に書き手の願望が反映されてるようで、すごく恥しいですね。
>池乃めだかシーン
まるで子どもにやられてるわたしです。
つる
2008/03/29 23:34

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