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zoom RSS 「理想の高校生」INTERBAL 9/アイコンタクト

<<   作成日時 : 2007/12/08 21:04   >>

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photo by image navi

アイコンタクト
「ネエちゃん。これいらない」

 アメリカンドッグを佐藤さんに渡す四年生の弟ヒカル。さっきから物珍しくて六年生のマモルと場内をあちこち探索している。

「何? 食べないなら買っちゃだめでしょう」

「だって固いんだもん」

「あっほんとだ。なんだこれ。揚げ過ぎ」

「どれどれ。やだほんと。売れると思ってこんなのまでだすんだ。ひどいね」

 料理をする酒井さんもそれがわかって憤慨してくれる。

「歯が折れたらどうするんだよ」いや歯は折れない。




 ロッカールーム。

 蔵間監督のゲキが飛ぶ。

「いいか! 気持ちで負けるな! 前がかりになったら相手の思うツボだろう! つけ込まれんな! 前半の40分で2点獲られたら後半の40分で2点取り返す! わかるな! 同じ40分だ! 後半の40分はお前らの前半40分だ!」

「おう!」

「中澤!」

「はい!」

「中入れ! 斉藤!」

「ハイッ!」

「中澤のあがったあとカバーだ。うしろ4枚!」

 要するに中澤先輩はリベロということだ。チャンスの時には攻撃にも参加するCB(センターバック)。

「後半ラッキョウは逃げ切るつもりで引いてくんだろう。但しカウンターに気をつけろ! 流れを変えろ! パスを使い分けろ! ロング、ショート、ショート!縦、横、縦、横だ! パスが通らないんならドリブル! ちったあ頭つかえや!」

 もどかしくて最後ちらと本音がのぞく。監督も人間。

「おうっ!」





「クソするにーちゃん!」

 スタンドの通路に拳骨をくらったヒカルと拳骨を放ったマモルが立っている。

「おう。来てたのか」

「こんにちは」とマモル。

「ねえ。出ないの?試合」

「ああ」

 佐藤さんが来ているんだと思った。

「せっかく見に来たのに」ヒカル。

「また今度な」

「今度っていつ?」

「今日勝ったら出るよ。次」

「ほんと?」

「ああ。たぶん」

「ねえ。おれらも試合あるよ」

「区長杯か?」

「違うよ。クリスマス・カップ。知らないの?」

「知らね〜。そんなのあるんだ」 

「見に来てよ。クソする」ボカッ。「にーちゃんが来るならカッコいいとこ見せるよ。おれフォワードなんだ」

 苦笑する直毅。自分は佐藤さんにかっこいいところなんて全然見せてないと気づいたようだ。

「へえ。すごいな」

「マモルにーちゃんはディフェンスだよ」

「そうか。同じだな、オレと。何番?」

「5番です」マモル。

「それも同じだ」目を合わせて笑う二人。

「おれは、おれは18番だよ」ヒカル。

「おう。いい番号だな」

「11番が欲しかったよ」

「ヒカルが18番を伝説の番号にしろよ」

「うん!」目が輝くヒカル。
 
「ねえ。約束だよ。きっと来てよ。試合」

「行けたら行くよ」

 直毅が二人の戻る先を目で追うと、アメリカンドッグ片手の佐藤さんがいた。直毅を見る彼女と目が合った。互いに何を思うのだろう。




 マモルとヒカルに会って直毅はシャーシャークレープ時代に多摩川の土手で見た試合を思い出した。 

「すげえな」と六年生のじゅんぺいが言うと、

「すげえ」と六年生の直毅が相槌を打った。


 それは毎年五月の連休に行われる“全国少年サッカー大会”の支部予選。
 初参加のO-シマWINDS(オーシマウィンズ)は島しょ部からエントリーだった。はるばる船に乗って泊りがけでやってきた。
 一回戦の相手は強豪干潮シーガルス。たいていのチームの子供たちは戦う前から萎縮した。無理もない。
 ところがO-シマWINDSは違った。対戦相手に先入観がない強みもあった。風のようにグラウンドを駆け回るとシーガルス相手にあっという間に先制点を取ってしまった。
 すぐに巻き返しをはかったシーガルスに追いつかれて引き離された。
 逆境にあってもO-シマWINDSは誰一人として下を向くどころか視線さえも落とさなかった。ただ前を向いてゴールを目指した。
 声を出してチームメイトを扇動するキャプテンマークを巻いた少年。少年に負けじと声を出し続けるイレヴン。最後までこれっぽっちもあきらめない逞(たくま)しさがあった。  
  
  

 
 それは今の王者ラッキョウを相手にしたナンジャラにもいえるかもしれない。
 だが口で言うのは簡単。経験を積んだ自信がなければ決してピッチ上でそうは振舞えないだろう。
 



 インターバルが終わってロッカールームからバラバラッとトラックに出てきたナンジャライレブン。直毅はスタンドの縁(ふち)に駆け寄って声を掛けた。

「じゅんぺい! じゅんぺい!」

 気づくじゅんぺい。

「なあ! O-シマWINDS思い出せ! O-シマWINDS!」

「?」という顔を一瞬したが、ニカッと笑って二本指で敬礼してみせた。

「エブリバディパッション♪」

 意味不明の言葉を残してベンチへ走って行く。彼はいつもそうだ。真面目な時ほどわざと相手の気もちをはぐらかすようなことを口にする。じゅんぺいの本気モードを感じてニヤッとする直毅。

 カン! カン! 
 グラウンドにカクテルライトが点灯された。曇天(どんてん)の夕刻を思わせる暗さに13時だというのにライトアップされたピッチ。
 見上げるじゅんぺい。今彼の目に直毅と同じ画が見えるはず。グラウンドを一掃するように吹き渡る風。O-シマWINDS。




 後半の円陣を組む前に互いに顔を見合わせる。それぞれにグローブで手首に足首にタッチする。そこには地方予選から外すことのない、女子マネが配ったミサンガがつけられている。
「集中!」楢崎主将が言うと空を仰いで息を整えた。組んだ円陣。その上にはみんなの思いを乗せた見えない円陣も組まれている。

「絶対勝つぞ!」

「おうっ!」トンとスパイクの底を芝に叩くと、パッとグラウンドに散った。




 応援席の通路でチアガールのダンスが始まった。「Hey!Mickey!」「PECORI NIGHT」だ。



<つづく>







 スタンドでグラウンドでたくさん目が合ったということでこの題名です。少しずつサッカー用語が頭の隅っこにでも刻まれると嬉しい。
 さて、O-シマWINDSがでてきました。実際のチーム名は違いますが本当にそんなチームを過去に見ました。土手の上から見たあの子供たちの顔。忘れられません。
 今日は「負けないで」を聞きながら書きました。
 ご紹介する応援歌は「アルプス一万尺」野球の応援でも使われますね。こんなふうに歌われます。
♪これから始まるナンジャラゴール 何点入るかわからない 1点2点3点4点5点6点7点8点9点10点止まらない♪

 年齢を問わず読んでいただきたくてお目障(めざわり)かもしれませんが読み仮名を付けます。





アイコンタクトボールを保持しているプレーヤーとパスを受ける味方プレーヤーが目を合わせること。練習を積んでいると目を合わせることでタイミングがはかれ、パスのコースを予測できる。
CB(センターバック)中央のディフェンダー。
リベロスイーパーの中でも、守備だけでなく、チャンスの時には攻撃にも参加するセンターバック。イタリア語の「自由」。
スイーパー相手プレーヤーをマークせず、ディフェンダーの一番後で、カバーリングや他のディフェンダーへの指示を出す役目のプレーヤー。センターバックの一つで、チャンスの時には攻撃にも参加するプレーヤーをリベロと呼ぶ。
以上参考
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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
うーん。スタンドの風景。ハーフタイムの選手達。少年サッカーの説明。直毅達が少年時代に見たゲーム。再びピッチへ。短い中で視点の移動が多く、説明文、回想と挟まれる為、本筋の話の流れが分断されています。読み手にとってはかなり読みづらいですねぇ。説明、回想は必要なパーツでしょうが、もっと簡潔にするか、章を分けるかして工夫しないとキビしいかもしれませぬ。思い入れのあるシーン、知ってもらいたい事であるからこそ、絞りに絞って、効果的な言葉で読み手に伝える事も必要かな。などと思いました。今日は辛口です。
レイバック
URL
2007/12/09 12:33
レイバックさん。いつもありがとう。
そうか。詰め込み過ぎなんですね。あとで思い切ってバッサリいってみようか。本筋の話の流れが分断か。う〜ん。難しいけどやってみよう。じゅんぺいの土下座の結末もあるしたいへんだ。こりゃ。
後半はまた苦手な試合のシーン。これが終わったら反動で思いっきしロマンチックなものか冒険ものが書きたいです。ロードオブザリングを観たせいもあるけど現実逃避だわ。
まだまだへたくそで読みづらいのだと認識しました。がんばるぞ〜
つる
2007/12/09 23:48
そうだ。土下座の結末もありましたね(笑)て言うか無理難題をふっかけてスミマセン・・・。後半2点差を追う展開期待しています!そしてワンカップのオサーンも( ´艸`)
レイバック
URL
2007/12/10 00:57
た・頼むから展開なんて期待しないでもらいたい。ほんと。お願い。ごめんなさい。これで勘弁。
そして
>そしてワンカップのオサーンも( ´艸`)
出ないって!出したとしても帰りの赤羽駅で意気投合したじゅんぺいのお母さんたちと立ち飲み屋で一杯ひっかけるだけだって。そして間違いなく本文から外れてゆく〜
つる
2007/12/10 01:08
アナタハダンダンソノ気ニナル。
アナタハダンダンソノ気ニナル。
アナタハダンダンソノ気ニナル。
アナタハダンダンソノ気ニナル。
そう、「それが大事」。
決して「負けないで」。
アナタハダンダンソノ気ニナル。
絶対に決勝に行く。そして勝つ。そのようにだんだん展開をもっていきたくなる。
アナタハダンダンソノ気ニナル。
(Tabを使うと便利ですねえ。何度でも同じ文句が書けるから)。
アナタハダンダンソノ気ニナル。
(しつこい! )
でも、その気になったでしょ?それが大事。
勝つんジャラホイ。
だっくす史人
2007/12/10 20:35
だっくす史人さん。やだ。これ面白過ぎ!このコメ今までいただいた中でもワンツーかもです。こういうセンスないなあ。わたしには。
そして
決勝ねえ。行きたいよねえ。ほんとに。(ヒトゴト)
つる
2007/12/11 00:33

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