ハキダメにつる

アクセスカウンタ

zoom RSS 「理想の高校生」EAST SIDE STORY 5

<<   作成日時 : 2007/12/21 19:07   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 9

画像










EAST SIDE STORY5
「やだっ!おにいちゃんたら」

「ただいま」

「血ィでてる。ドシタ?」

「転んだ。自転車で」

「……」どう見ても転んでない。

「なんだよ」

「男と女の修羅場を乗り越えとか」

「ちげ〜し」

 着メロが鳴った。ニイケンからだ。





「母さん。オレ出掛ける」

「やだっ! おにいちゃんたら」

「かっこいいとか言うなよ」

「ふ、ふつうでビックリ」

「悪かったよ、ふつーで」

 言われても仕方ない。○ニクロの黒いオフタートルに、ダボダボのジーンズを腰パン。ダボダボは仕方ない。サッカー部だから腿が張ってる。強いて、お洒落と言えばDIESEL(ディーゼル)のベルトくらいだろうか。今年のサンタさんからのX’masプレゼント。あ・チェーンつけてる?なんだ家の鍵か。

「誰と」

「ニイケン。村上んとこ行く」

「ふ〜ん、デートか」

「ちげーし」

「なんかさ、何かもっとないの?」

 せっかくのお出かけだ。何か応援してやりたい。学校とグラウンドの往復が毎日の息子。デートの気配すらない長男。そんなイケてない彼のことがじれったくて仕方ない母さん。

「何かってなんだよ」

「ほら、こう、何ていうか」

「いんだよ。これで」

「そ〜お? う〜ん、あ!」

 いきなし廊下にダッシュした母さん。玄関前で、

シュッシュッ。

 ファブリーズを撒いたような音がした。

「ちょっとココ通ってみんしゃい」

「通んなきゃ出らんねえだろ」
 
 母さん、福引で当てたオー・デ・コロン<MANDOM / LOOSE SHUFFLE>で香りのオサレをサポート。

「ささ、どうぞ」

「ハックション!」

 少しアレルギー気味の直毅。香り系に微妙に反応する。

「ついでにメガネとか取っちゃってみる?」

 何でみんなメガネ取れとか言うんだろう、と思った。

「何でだよ」

「何でって、そっちこそ何で前のメガネしてんの?ヒビ入ってるよ」
 
「へへ」笑って誤魔化した。

 直毅はメガネを置くと洗面所に向かった。そこでコンタクトを装着すると、ついでにそのへんにあったワックス<GATSBY / MOVING RUBBER (WILD SHAKE)> をベリーショートの頭につけて出て来た。

「やだっ! おにいちゃんたら」

「ふつう言うなよ」

「かっこいい!」

「うそつけ」

「ほんとほんと」

「行ってきます。ハックション!

「ハイ! イッテラッシャイッ!」友近の十朱幸代風に言われた。




 隣町の駅前はX’masの飾り付けこそ残ってはいるものの、昨夜の華やぎからはずっとトーンダウンし、正月の雰囲気さえ漂っていた。

 村上君のお父さんの知り合いがやってるジャズ・クラブ“スタンダード”。運河沿いの国道の傍にあるという。

『やっべっ! 佐藤だ』別にヤバくなんてない。

 見当をつけたビルの前に白い帽子と白いダッフルコートの佐藤さんがいた。でも来るなんて聞いてない。

「あ、松本君。ふふっ」

 いきなり笑われた。直樹を見て驚くふうでもないのは、来るのを知っていたようだ。

「なんだよ」

「だって」

 指は直毅のマフラーを指している。口にグルグル巻きしているのが可笑しいらしい。

「佐藤も来たんだ」

「うん。規子(酒井さん)に誘われた。松本君は?」

「ニイケンからメールきた」

「そう」

「ほんとにここかな」

「さあ」二人はそわそわと落ち着かない。

 HOTEL“NO SIDE”の看板の下。いまどきのさり気な入口とも知らず、連れを待つ二人。そこだめだってばよ。

『佐藤が来ンなら、メガネしてくればよかったなあ』

 直毅は、少しお化粧している佐藤さんのラメ入りのアイシャドウが眩(まぶ)しくて仕方ない。そのキラキラにヤラれたのと親友のメガネ君のバックアップがないのとで足元ばかり見ている。



【つくばねの 嶺(みね)より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる 】陽成院(ようぜいいん)



 佐藤さんは髪を切ったメガネのない直毅を見ている。いつもは校庭の石灰の匂いしかさせない男子からいい匂いがして、クラっときた。いや昼から食べてない。

「大丈夫かよ」

「うん。何でもない。何でもない」

 いやいやをするように頭(かぶり)を振る女子。背を折り曲げるように彼女の顔を覗き込む男子。
 ホテル前で入るか入らぬか、すったもんだしているような男女をおもしろおかしく通行人が振り返る。

「『いいだろ』『いや!』『なんでだよ』『だっていつもこんなのばっかり』『そんなことねえよ。好きだよ。ヤラセロ』『サイテー!』」

「やめなさいってば。もう」

 いつかの304号室の楠さんという新婚さんがアフレコしながら通り過ぎた。


<つづく>



■つくばねの 嶺(みね)より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる/陽成院(ようぜいいん)
<口語訳>
筑波の嶺から流れてくる男女川という川は、最初はわずかですが、今では深い淵となっています。
同じように、私のあなたに対する恋心も、今では、最初のころにくらべると、ほら… こんなにも深く深くなっているのですよ。
どうかわかってください…。参考URL


腰パンクリック




 いまの人っていい匂いします。香りが、もう当たりまえのおしゃれなんですね。だけど、つけ過ぎの人も多いです。こうして撒いた後に通過するくらいで丁度いいです。
 おっと!腰パンはになるそうですよ。

 今日のBGM→「Here Comes Santa Claus」

 年齢を問わず読んでいただきたくてお目障(めざわり)かもしれませんが読み仮名を付けます。



↓腰パン禁止条例。ナットクだったらポチ。
にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
人気ブログランキングへ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
つるさん、こんばんは。
腰パンが条例で禁止とは恐れ入りました。ま、私も腰パンには眉をひそめている一人ではありますが、法律で禁止なんてのを聞くとバリケード封鎖して抵抗してやりたくなりますね。風紀なんてのは大人の方がメッチャ乱れとるのですからバカげた反応です。若者は「えー、なんだよ、その格好は」と言われるくらいがちょうどいいのです。私たちも言われてきましたから。
サンタさんの格好だって相当変ですよ。よく見ればね。法律で規制したらサンタはもう街にやって来なくなります。
こういう法律を作ったアンタ、来なくていいよ。お呼びでない。
だっくす史人
2007/12/21 21:14
ラメ入りのアイシャドウの佐藤さん、うわあ、想像するのが難しい。これまでのイメージを変えないといけない。女子は暖簾を、いやカーテンをくぐり抜けた瞬間に変貌を遂げてしまう術を体得していますから、妙な固定観念を持ってはなりませんね。
男女川はホテルの前を流れていたのですね。ヨウ(言う)ゼイイン。
304号室の楠さんはどこにでも現われるのですねえ。おもしろこわい。映画解説のヨドガワさんみたいです。
コワイデスネエ、高校生がヤラセロナンテエ、コマリマシタネエ、条例デ禁止シマショウカシラ。ハイ、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
(次はホテル、じゃなくて、ジャズですかねえ)。
だっくす史人
2007/12/21 21:25
だっくす史人さん、いつもありがとう。
腰パンね。腰パンでもピアスでも似合う子がすればノープロブレムなんですよ。似合うんだから。そうじゃない奴がやっちゃってますんで格好が悪いわけです。ジーンズショップに行ったら速水もこみちがモデルをしているなんかのパンフレットをくれました。腰パンです。いや〜「あり」です。「ありでしょう」と思いました。
>法律で規制
校則と同じで破りたくなるんですよね。
>ラメ入りのアイシャドウ
いまはね。超微粒子でほとんどのものに入ってますよ。パウダーにもマニキュアにも。昔のそれと違ってケバイということはありません。若い女の子たち、ティンカーベルかと思うくらいキラキラと綺麗ですよ。
>304号室の楠さん
面白いかなと入れちゃいました。ちょっとセリフが過激でしたね。
>ジャズ
それがムズイんです。期待に沿えなかったらごめんなさい。先に謝っておこう。
つる
2007/12/22 00:34
いまだに腰パンしてるレイバックです(汗)ほどよくルーズな展開でゆったりと読めました。やっぱり息子の恰好や恋愛は気になるものなんですかね(笑)破れたジーパンについてよくヤイヤイと言われてた事を思い出しました^^;香り関係はさりげなく香るのが一番ですね。次回も楽しみです。
レイバック
URL
2007/12/22 14:39
えっ!腰パンなの?レイバックさん。
腰パンが出回って15年ほど経っているそうですね。知らんかったわ。破れたジーンズはもうあまり見かけないけど、裾を引きずっている子は多いですね。あれで部屋に上がって来られると閉口します。
>次回も楽しみ
ほんと?ほんとほんと?
なんか皆さんやさしいので、社交辞令かそうでないか、最近とんとわからんのよ。
つる
2007/12/23 01:18
これはニイケンと酒井さんのおせっかいな陰謀なんですか?
しかし、直樹と佐藤さん、全く気付いてないな(笑)
口にグルグル巻き?って、年寄りっぽいですね。
銀河系一朗
URL
2007/12/26 17:22
腰パン反響ありますねw
というかこのご時世にそんなとこに目をつけて法律で規制するって・・・。腰パン云々よりこの事実にがっかりです。
街中で腰パンの人捕まえて警察官が
「これ!それやめなさい!ちゃんとして!」
って言うんですか?滑稽なんですが・・・w
小屋
2007/12/26 19:34
銀河系一朗さん、いつもありがとう。
>陰謀
そうですね、まさに。でも敢えて書きませんよお。
>全く気づいてない
うん。五反田にね、「B−side」って何気のソレありまして、そこをおつかいで通りがかりまして思いついたわけです。ネタばらしてどうする。毎日生活の中から拾ってます。
>口にグルグル巻き
口に殴られた痣があるんで隠していたと思われます。これもね、かっこいい子がやるとかっこいいんですって。
つる
2007/12/26 22:24
小屋たん、来てくれてありがとう。
>腰パン反響
うん。BLネタにつぐ反響だわ。小屋たんも腰パンと想像しています。
ジーンズを腰パンして2日目。肉体が生地に負けた。こすれて痛いわ。
>法律で規制
実際に罰金を払った例があるのかしらね。都市部で自治体による歩き煙草の規制がスタートしたのは何年前だっけ?たしか3千円だったと思うけど、当初罰金を払ったというようなニュースも流れたけど、最近はとんと聞かないわ。そんな感じで腰パン条例も脅しの意味合いだけで、すぐ廃れるんじゃね?
>滑稽
うん。もしかしたら街に笑いを取り戻すための丸秘作戦なのかもよ。
つる
2007/12/26 22:35

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ 人気blogランキングへ
「理想の高校生」EAST SIDE STORY 5 ハキダメにつる/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる