ハキダメにつる

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zoom RSS 読書感想文/長谷川君の事情

<<   作成日時 : 2007/11/01 00:55   >>

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長谷川君の事情
担当編集者「ハ・ハ・ハ・ハ・ハセガワワワ・・・」

つる「落ち着いて」

担「だ・だって長谷川君が、か・か・か・駆け落ちだなんて」

つる「駆け落ちなんかじゃないさ。」

担「えっ!違うんですか。」

つる「うん。ちゃんと戻ってくるよ。」

担「良かった。ボク長谷川君のファンなんですよ。彼には幸せになってほしいなあ。で、長谷川君の事情って、いったい何だったんです?」

つる「うん。それが何かメンドくさくなっちゃって」

担「不親切ですよ。」

つる「だいたい、このお話は、おにいちゃん(直毅)が主人公なんだ。彼は、ただの脇役のひとりにすぎないんだからさ。後は勝手に想像しておくれよ。それに、おにいちゃんは一刻も早く佐藤さんのところに行かなきゃなんないんだ。なにしろ彼には、あと30分しかない。」

担「しょうがないなあ。じゃ、ボクが」

つる「ヨッ!待ってました!」

担「え〜こほん。

 長谷川君とリージュンさんが下校途中に本屋の前を通りかかった時のことです。いつかのキムキム兄ヤンたちが因縁をつけてきました。なんと彼は、リージュンさんのお兄さんだったのです。彼らは『よくも妹を傷物にしてくれたな』と言って、長谷川君をボコボコにしました。『この落とし前はつけてもらうぞ。百万円持ってスナック“別れの予感”に来い』そう言っては長谷川君に向かってペッと唾を吐きました。長谷川君は手をだしませんでした。なぜなら、キムキム兄ヤンをやっつけてしまったら、きっとリージュンさんが悲しむと思ったからです。長谷川君はご両親に相談しました。彼らは、ここのところ勉強も手につかないほど彼女にいれあげている息子のことを大変心配しました。その日、そう、あの日のことです。ご両親は百万円を持って“別れの予感”に行きました。どうしたものかと店の前でウロウロしていると、リージュンさんが出てきました。『百万ぽっちのはした金でアタイが買えるとでも思ったのかい?もう百万持っておいで。』『ひどい!グルだったのね!』『グルならどうした!世の中、所詮“金”よ。はははは。』『なんて、なんてひどい女!誠は騙されたのね!ちくしょー、このやろめっ!』『何すんだよ!離せ、ババア!』

で、何も知らない長谷川君が、そこに飛び出したわけです。」

つる「・・・」

担「ん?どうしたんです?」

つる「ひどい・・ひどすぎるよ。」

担「どこが?」

つる「彼に幸せになってほしいとか言ってたくせに、そんな女と一緒で幸せになれるのかい?矛盾してるよ。」

担「そうですか?」

つる「そうだよ。やっぱ書く。ほんとはこうだよ。

I Was Born To Love You
「誠!」

 夕飯の食卓につこうとした長谷川君に居間から父親の声が飛んだ。険しい顔で黙ってそちらを向く長谷川君。

「何故、道場に来ない!」

 長谷川君の父親は自宅で接骨院をやっている。定時で仕事をあがると自宅裏の道場で柔道を教えている。 夕方は小学生相手、夜は中・高生や大人相手に週2日。その他の日は3兄弟が父親と共に練習した。
 だが長男が警察官になって独立し、次男が大学の柔道部の寮に入ってからは、父親と二人だけの練習になった。それをずっとさぼっている。それでも週末は良かった。たまに帰る長男は二人の緩衝材の役割を果たし、また次男が寮から戻っている時は衝突寸前の仲裁にはいった。なぜなら長男も次男も、この弟が大好きだったからだ。3人で厳しい練習にも耐えてきた。できることなら自分たちとは違い、弟には好きな道へ進んで欲しかった。

「やりたくないから。」

「なんだと!もう一遍言ってみろ!」

「やりたくないから!」

「ふざけるな!一日でも練習を休んだら体がなまるんだ!おまえは二週間もブラブラしてるだけで何もしてないだろう!」

父親は大学と実業団で柔道をしていた。インターハイにも出たことがあったがオリンピックは無理だった。夢は息子が叶えてくれると信じている。

「毎日なんて誰がそんなこと決めたんだ!」

「なんだと!親に対してその口の聞き方はなんだっ!」

 もともと長谷川君が上の二人に比べて柔道にそれほど身が入らないのを知っていた。だから高校は自分の出た大学の系列校の柔道が強いところに進学させたかったが我慢した。でも柔道を続けることが条件だった。いずれは“つて”で母校に進学させたいと思っている。なにしろ兄弟の中でも一番才能があると見込んでいるのだ。
 自分の才能や進路がわからない若者は多い。子どもの才能を見つけてやり、それに道をつけてやりたいと思うのは親の常だろう。それを放棄するというのだ。
 とうとう我慢ならなくなって、長谷川君の塾のないこの日に、顔を合わせて爆発した。

「なんだってなんだっ!嫌だっていうものやらせるほうがおかしいだろうっ!」

「おまえ、インターハイや世界大会に出たくないのかっ!」

「そんなに出たきゃ自分で出ろよっ!」

 睨(にら)み合う。いつかはこういう時がくる。遅すぎたくらいだ。今までは兄弟が取り成してくれた。でも、その二人はいない。いきなりの展開に長谷川君は逃げなかった。

ボカッッ!

 柔道をする人の拳(こぶし)は常人よりひとまわりもふたまわりも大きい。相手の襟と袖を掴んで引き回す。とんでもない握力と腕っぷし。そんなんで殴られたんだからひとたまりもない。長谷川君は壁まで吹っ飛んだ。
 最後には、こうして力ずくで人を言いなりにしようとする父親が、ずっと嫌いだった。

 いつもなら間に入って、長谷川君の肩を持つ母親が、

「誠!お父さんに謝りなさい!」

「・・・」

「おまえ、最近塾をさぼって商店街のスナックに出入りしているそうじゃないの。本当なの?」

 昨夜、塾の講師から電話があって、もう二週間も来ていないと聞かされた。

「おっしゃいっ!ほんとうなのっ!」

 自分の声に、ますますヒートアップする母親。
 塾の話に加え、ご近所の麻雀好きの高齢者からも息子の噂話をふきこまれた。今日は地域清掃の集まりがあったのだ。
 長谷川君が中国人が経営するスナックの娘に一目惚れして、その店に通いつめているらしいこと、娘の実姉がママになってるその店から、その2階にある麻雀屋に焼きそばやらスパゲッティやらを彼氏気取りで配達していることなど。
 聞いた時はカッと頭に血が上って、卒倒するかと思ったほどの衝撃だった。本人に真偽のほどは確かめてからと思っていたのだが、彼女も爆発した。

「中国の人ってアンタわかってんの!あそこのお祖父さんは戦後、汚い高利貸しまでやってビル建てたそうじゃないのっ!」

「中国のどこが悪いんだっ!それにリーが金貸してたわけじゃねえっ!」

 彼女のことを“リー”と呼ぶ長谷川君に、もうそんな仲なのかと眩暈(めまい)を起こした母親は、その場に崩れた。

「待てっ!誠っ!」

 バンッ!と、ドアを閉めて長谷川君は家を飛び出した。「リーに会いたい。」気持ちはそれだけだ。BGMは→コレ



というわけさ。長谷川君は偉いよ。父親に手を挙げなかったんだもの。あれ?ドシタ?泣いてんの?」


担「うう」





11/01タイトル変更しました。「羽鳥君の妄想」→「長谷川君の事情」
11/01文章追記しました。


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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
びっくりしたなあ、もお〜。
よくタイトルを読むんだった。妄想ですからね。いやー、でもまいった。また眠れなくなるところでした。とり君の妄想は、ねえー。妄想は私とつるさんだけで十分だっちゅうのお。てな感じかな。
よしぁ、明日という予告ですから、明日を楽しみにして待ちましょう。
つるさんも寝不足にならないように、気をつけて。では、また。
だっくす史人
2007/11/01 01:34
だっくす史人さん、こんにちは。
昨日は眠くなって途中でブログを閉じちゃいました。あのあと続きを足しましたので見てくださいまし。自転車操業はいけませんね。ちゃんと仕上げてからアップしなくては。
羽鳥君は修行が足りません。ウソです。ちゃんとわかってます。ただ、つるセンセの対極に置いておかなくちゃいけないので、こういうふうにならざるをえません。
こうなると「読書感想文」も、一種の創作ですね。
つる
2007/11/01 20:59
こんばんは。
Queenブームがキテルんすね(笑)
羽鳥君バージョンで進めていったら
まったく違う話になるもんなぁ。
その続きも読んでみたいけど^^
レイバック
URL
2007/11/01 23:44
わお。タイトルが変わっていたので昨夜のことはホントに私の妄想だったのかと驚いてしまいました。
A地点からB地点へ到るルートはたくさんあるわけですが、つるさんはこれらのルートを巧みに書きわけますね。ドッペルゲンガーの時も驚かされましたが、今回も大成功です。
長谷川君の父上、柔道整復師だったんですね。強い。
でもどんなに強い親でも子供のことを心配するときは苦しいものなんでしょう。母上も崩れてしまうし、もう大変です。
それにしてもとり君はイイ奴です。。ほんと。つるせんせいの味方。(ちょっと昨日の感想と違ってるかいな)。
わたしは何のために生まれてきたのか、考えつつ、ねむろ。
だっくす史人
2007/11/02 00:03
するどいからなあ、レイバックさんは。
ベタだけどQUEENつかっちゃいました。人の話より目とか耳から入ったもののほうがイメージが膨らみませんか?でも、題名も気に入っちゃいました。

高村薫「マークスの山」読破中。なんでここまで内情を書けるの?って不思議マーク。
つる
2007/11/02 00:07
だっくす史人さん、2度も足を運んでくださってありがとう。
ストック貯めて頑張ります。
長谷川君のことは、まあ番外編ということで。番外編と言えば、ニイケンと酒井さんのギクシャクloveも書きたいんだけど肝心の本編が季節に遅れそうでアセアセです。
もうすぐ全国高等学校サッカー選手権大会の東京都大会準決勝(11/11)と決勝(11/17)です。ドキドキします。夢がありますもん。関係ない話でごめんなさい。

皆さんのおかげでランキングが上がりました。嬉しいです。ありがとうございます。
つる
2007/11/02 00:22

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