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zoom RSS 「理想の高校生」HAPPY BIRTHDAY 3/誤解

<<   作成日時 : 2007/10/27 22:50   >>

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photo by 伊豆の海と海岸に咲く花

誤解
 自転車置場から校門へと向かう2人を8組の窓から肘枕で見送る佐藤さん。

(なんてお似合いの2人なんだろう。)いや違うから 

「あらっ!松本君と林さんだ!あ〜あ〜見せつけてくれるわねえ。」

 いつの間にか酒井さんが横に立っている。放課後一緒に勉強しようと迎えに来たのだ。

「彼女のためにあのダサいメガネを変えたんだってよ。」

 窓枠から肘がはずれる佐藤さん。

「ひゃあ〜今日はメガネまで取っちゃってるし。よっぽど彼女にいいとこ見せたいんだねぇ。」

 四つん這いのまま動けない佐藤さん。やっとの思いで言った。

「今日ムリ。ヒカルたちとトンボ獲りに行く約束してた。」

「お〜お〜試験前に余裕だねえ。」

「ちがうし」銀河の果てまでワープしたくなった。





 図書館で小1時間も英語をやっただろうか。直樹は1Fの休憩スペースに降りてきた。林さんも後を付いて来た。

「もう終わり?」

「あ・うん」

 ストンと販売機からピルクルのパックが落ちる。

「飲む?」

 と、直毅。ううんと頭(かぶり)を振る林さん。ピルクルは危険だ。糖分が多い。
一気飲みした直毅が言う。

「林は終わったの?」

「う・うん。でも松本君が帰るなら帰る。」

 いじらしい。
 外に出ると白い雲には薄い紫が筋をひいてすっかり秋の気配だ。夕暮も、もう間近。“おうちご飯”が基本の直毅は言った。

「それじゃ。」

「うん。また明日ね。」

「あ、そうだ。林」

 直毅は聞いてみたいことがあった。

「なに?」

「オレと長谷川って」

「うん?」

 一陣の風に砂が舞った。どうしてその日に限ってコンタクトをしたままだったんだろう。6時間目の体育がサッカーだったからそのまま部活のつもりでウッカリした。昨日からテスト前で部活はない。顔をそむけて風をやりすごそうとした。

「オレと長谷川ががウワサになってるって、アレほんと・・あっ!」

 ペコリと体を二つ折りにする直毅。顔を振った瞬間、片方のコンタクトが落ちた。キラッと光ってみせるそれは林さんの膝の上あたりのスカートにあった。

「・・・わかった。」

 そう言うと林さんは踵を返して歩き始めた。

「あ・ちょ待てよ!」

 追いすがる直毅。待ってくれ俺のコンタクト。廻り込んで彼女の足元にひざまずく。「わるい。そのまま。」と言ってスカートの端っこをつまんで救助する。
 立ち上がると林さんの大きなギョロ目に何故か涙が浮かんでいる。

「林も」

『林もゴミはいったのか?』そう言いかけた途端、彼女は地響きと共に走り去った。

(やっぱりコンタクト不便だな。)

 直毅はすでに親友のメガネ君を装着。





 林さんは走っていた。彼女に空耳アワーが訪れる。

『オレと長谷川がウワサになっているって、アレほんとうなんだ。』

『悪かったな。今まで』

『林もわかってくれるよな。』

 走りながら泣いていた。いや自分の為にではない。彼の為に泣いていた。

(やっぱり噂は本当だった。

私が大好きになった人は男子しか愛せない人だった。どんなに好きになっても思いは届かない。こんな辛い恋があるんだろうか。

松本君は『ごめんね』とでも言うように頭を下げた。土下座までしたよ。そしてそれが全てなんだろうね。

認めたくないけど松本君と長谷川君はつき合ってる。

いくら世間の理解が進んだって、いざ目の前の人がそうと知ったら誰だって戸惑うよ。

学校生活を円滑に送るには二人はフェイクが必要だったんだ。そして彼女の存在をつくった。

松本君は私を、長谷川君は校内一の美人として誉(ほま)れ高いあの人を。

二人がBL(ボーイズラヴ)を貫くとしたらそれも必要なことなんだろう。

だけどそんなの悲しすぎる。

搾り出すように私にカミングアウトしてくれた松本君。

大切な秘密をありがとう。

こんなことって本当にあるんだね。

わかった。誰にも言わないよ。

でもいったい私に何ができるっていうんだ。ちっぽけな私。無力な私。
  
そうだ!ずっと味方でいてあげよう。

長谷川君が彼の支えなら、私は彼の味方になってあげたい。

彼が困った時に手を差し伸べることしかできないけれどそれが私の幸せだとも思える。

こんなに人を好きになったことなんてなかったよ。

彼みたいな人に二度と巡り会うことはないと断言できる。

私、ここに誓います。もう一生人を愛しません。)

 そう決心すると鼻の奥がつうんとした。鼻水が線路になった。今日から彼女は強くなる。いや前から
 もともと学業の方は学年女子のトップだ。 彼女にとってその日から田嶋陽子センセのような学者畑の道が開ける。ある意味記念日。

<つづく>





 

いやはや良かったような良くなかったような、それでもペコリしたおにいちゃん(直毅)とペコリ繋がりでこんな映像であなたのモチベーションアップのお手伝い。→Pecori Night

年齢を問わず読んでいただきたくてお目障(めざわり)かもしれませんが読み仮名を付けます。
   


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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
人生は誤解と妄想で出来ています。林さんは実に切ない気持でしょうねえ。青春は苦しみをスパイスにして味付けされていくもの。林さんに幸あれ。(ここまでの私の理解は正しいのでしょうか)。
田嶋陽子さんのHPを「お気に入り」に入れときました。なんか得した感じです。ファンですから。田嶋センセの声をもっと世の女性が(もちろん男性も、いやさ男の方が尚のこと)真剣に聞いてくれるとよいのになあと常日頃思っております。私も勉強します。
ゲイの人のブログにお邪魔してコメントを書いたりしたこともありました。とても理路整然とした文章を書く方でかなり触発されました。
女性論もゲイ論も(男性論も)、つまるところ社会論なんだなと考えさせられました。
ゴリエは動物論の範疇でしょうか。(こういうコメは偏見とすれすれで危ない。注意)。
お、楽しい記事のコメントに何をカイトルンジャ!
>窓枠から肘がはずれる佐藤さん。←これ最高。
>四つん這いのまま動けない佐藤さん。←これ妄想の素。私だけにはNG。

つるさんが元気で、絶好調なので安心しました。また来ます。
だっくす史人
2007/10/28 01:12
祝!ブログ再始動!
ここ最近の高校生シリーズを見ていると、
「そういえば自分、青春と呼べる青春はなかったなぁ」
と、20を目の前にして感慨にひたっております。
同時に、すでに大人になっているにも関わらず、ここまで青年の心を描写できるつるさんはすごいと思います。
寒くなってきました。PCと同時にお体も大切にm(_ _)m
小屋
2007/10/28 03:18
おはようございます。
すれ違ってますねぇ(笑)
アンジャッシュのネタみたい。
冒頭の会話文がとくに
自然でいい感じですね。
こういう流れ大好きです。
レイバック
URL
2007/10/28 09:50
四つん這いはまずかった!ヒジョーにまずかったと今気がつかされた次第です、だっくす史人さん。こんにちは。

>(ここまでの私の理解は正しいのでしょうか)。

ばっちりですよ。人生はすべてギャグです。なんかそう思ってないと息切れしそうな時ありますよね。

田嶋陽子さん、ファンですか。わたしもです。キャラがひとり歩きしてる面ばかり強調されてるけど間違ったこと言ってませんもんね。

>つまるところ社会論なんだなと考えさせられました。

ほんと。男・女、関係ない。人間としてどうなんだってことなんでしょうね。でも見た目にホント誤魔化されます。星の王子様も真実は目に見えないところにあると言っています。最近ではいっそ目をつむったまま喋ってやろうかと思うことあります。五感を磨きたいです。どうしても視界に入ったものに惑わされます。
体調を心配してくださってありがとう。絶好調なのはいいけれど書きたいことが押せ押せで季節に物語が間に合わないかもしれない。
欲張ってはいけないなあと思います。
つる
2007/10/28 12:28
>祝!ブログ再始動!
と言ってくださってありがとう、小屋たん。
青春はねぇ、おばちゃんも実際大したことなかったです。毎日が変わりばえしないように思ってました。今よりかずっとデブでダサダサな女子でした。そんなデブダサもハートだけは映画の「スィングガールズ」みたいに輝いて、他人の青春を指くわえて見てました。もうすっかりいい年になったけど、さあ何か書きたいって思っても社会背景の濃いものは書けない。だから青春ものにしてるけど、その中に大人になっても元気のヒントになるものが書ければいいなと思ってるだけで現代の青年の心模様なんて知る術もないんです。
そんなわけで「さと子」っていうオバサンの妄想が生みだした「理想の高校生」ってことにしてます。あくまでオバサン好みの親孝行で友だち思いな品行方正な高校生であって、いるわきゃないんです。いたら見てみたい。いや、うちの子に欲しい。まったくもって都合のいい高校生です。
だけどこうして若い方から少しでも考えを聞かせてもらえると飛びあがるほど嬉しい。1日いいことがなくても「ハキダメにつる」行ってから寝るかな、なんてブログを目指して頑張ります。
つる
2007/10/28 13:03
わたし、アンジャッシュ好きなんです。レイバックさんに、わたしのネタ元が暴かれていくような気がしてメッキが剥がれそうだ〜。するどすぎる。ちょっと考えました。そう、女特有の例の「ればたら」です。もし、わたしがレイバックさんと男同士なら間違いなく恋敵、女同士なら沢尻エリカと長澤まさみ。そしてその勝負の全てにわたしは完敗するでしょう。なんかアンテナの立てどころが似てるところあるんですよ。似ていて迷惑だったらごめんなさい。
苦手な会話文を褒めてくださってありがとう。やっぱり会話の部分って大切なのかな。一番得意なのはああでもないこうでもないとネチネチひとりでコネクリまわしている心境で、情景描写とか客観的な視点で書くところはいつも脂汗です。(ほとんどダメじゃん)最近はね、もう誰も読んじゃいねぇしと思って好きに書いていこうと思ってましたけど、こういうふうに言ってもらえると自分のこだわりが門戸を閉じているんだと目を開かせてくれます。自分の伝えたいことが伝わらないのは、やはりテクニックなのですね。素材はいっぱい持ってるんだけどなあ。くそお。
そうそう「悔しいです!」はザブングルの持ちネタなんですよ。
つる
2007/10/28 13:44
アンジャッシュのネタは高度ですよね。
小説的でもあるし二人の演技もいい。
うひゃひゃ、僕肝心な勝負弱いっすよ〜
アンテナの立ちも最近は・・・(爆)
たしかに特に感想文の会話と、小説内で、
一人悶々とする描写は光ってますよね。
素材があれば、あとは書きまくって、
読んで、推敲して、書きまくって、
ってしてる内にきっとなんとかなる!
と僕は自分に言い聞かせてますよ。
ムリヤリポジティブだから(笑)
素材が最近枯れてきてるからなー、
もっと本読んで活動範囲広げようっと。
ザブングル!
スンマセン知りませんでした^^;
レイバック
URL
2007/10/28 20:37
いえいえ何をおっしゃいます、レイバックさん。
わたしは負けます。ていうかそれがわたし。
たま〜にじゃんけんで勝つときは、検便を集荷する保健委員になる時だったりするだけなんです。そして弱いから吠えるわけです。
スピーチとか弁当作りって慣れですよね。夏休み明けの弁当なんて、そりゃあひどいもんです。隙間だらけで何を詰めたらいいんかワカランチン。文章もある程度は慣れですか。やっぱ才能でしょう。慣れもあるか?ホラ吹きの要素も必要でしょう。きっと。他人に見えないものを見て書くわけですから。あ〜絵画も同じだ。だけどそれはやはり才能と呼ばれる。う〜ん。
ポジティブ羨ましい。わたし真性ネガティブです!キッパリ!
ただスピーチだけはあがりません。どうせ誰も見てないもの。それはこのブログと同じだ〜。
ザブングルはすご〜くマニアチックだから知らなくっても生きるためには何の支障はありません。ただ「「エンタ」と「爆笑オンエアバトル」のチェックを欠かさないだけなんです。ああ、どんどんわたしのネタ元暴露が進む。
つる
2007/10/28 22:55

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