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zoom RSS 「理想の高校生」文化祭5/嵐のグラウンド

<<   作成日時 : 2007/09/13 00:33   >>

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画像








photo by 伊豆の海と海岸に咲く花

グラウンド
 いよいよ文化祭だ。ながかったよ、ここまで。

 その日はナンジャラホイ高校はじまって以来の空前の人出だった。朝から事務室と職員室の電話が鳴りっぱなしだ。主事さんも校長先生を探して駆けずりまわっている。
これはいったいどうしたことだろう。

 昨日の文化祭は非公開だった。
 ところが今日はどうだ。一般公開の10時前には正門の前に女子中高生がワンサカと列を成し、その列の中にはマイクやカメラも見える。
ローカルケーブルTVの取材班だ。その他にマスコミを思わせる腕章を付けた輩(やから)もチラホラと高校に隣接するコンビニを行き来している。

 今週の木曜日に地域限定フリーペーパー“花よりメガネ男子”の最新号が発行された。
市内の店先に山積みされたそれは地域密着型零細企業の広告料で成り立っているフケバトブヨな小冊子である。

 その内容は最新モデルのメガネ情報はもちろんのこと、メガネ小物・イカしたメガネポーズ研究・新メガネ道〜あなたの未来への道標(みちしるべ)・メガネ君デートスポット・メガネ有名人独占インタヴュー・あなたの街のメガネ君・ビバ!メガネフリーク!メガネ大好きカワイコちゃん・コンビニ新商品情報等等、メガネ男子なら誰でも標準装備しておきたい知っ得情報が満載だ。コンビニとメガネ関係ねえし

 なかでもペンネーム“丹頂ZURU”先生のお書きになる発刊当初からの連載<新メガネ道〜あなたの未来への道標>は人気があった。これを目当ての読者もいるくらいだ。
この<新メガネ道>と、<イカしたメガネポーズ研究>が、この小冊子を支える二本柱だ。
 <メガネポーズ>では、毎号、メガネ君の立ちポーズ・メガネ君のタバコ点火ポーズ・メガネ君がレンズを拭くポーズ等の特集を組んでいて発行の翌日にはその特集が組まれたポーズが学校にオフィスに駅のホームにコンビニの脇にと町のそこかしこに蔓延(まんえん)する。今週は<もしもメガネのネジが緩(ゆる)んだら>のポーズだ。ほんとかよ

 そしてその本誌に週替わりでメガネ君割引券が付いている。この5%引きの割引券があれば町のジーンズショップも居酒屋もサウナも牛丼屋もレンタルショップTATSUYA(TSUTAYAちゃうよ)も恐くない。彼女もそんな割引券を持った彼にもうメロメロだろう。うそだまさにメガネ男子御用達(ごようたし)のフリーペーパーである。
 
 その今週号の表紙にイケたメガネ男子高校生が載った。直毅だ。
 いつかの直毅が補導係とばかり思い込んだ女性とカメラマンはここのスタッフだった。。→忘れちゃったらココ
 写真下には<ナンジャラホイ高校の吉田龍之介君>とある。いるわけがない。
 吉田龍之介は校長先生の名前だ。

 皆さんも経験がないだろうか。
 一生一度しか撮れないだろうナイスショット。肌の質感と陰影に修正が施(ほどこ)され、目に星が入った自分とは見紛(まご)うばかりのトッテオキの一枚。でもこれが本当の自分だと思いたいタイセツな一枚。
 まさにそれだった。

 無意識にこちらを向く日常の一瞬を切り取ったようなその写真は、たぶん直毅本人が見てもわからない。「これ誰?」

 それが近隣の女子中高生のハートをわしずかみにした。
 口コミであっという間に噂が広まりフリーペーパーは店頭から消滅した。一部エリアでは、毎週この日を心待ちにしたメガネ男子の中に入手不可能と知るや一揆を企(くわだ)てる者も勃発(ぼっぱつ)し、やがてそれは誇張の乱へと発展する。社会かよ

 彼女たち女子中高生らはフリーペーパーの編集部に新聞社の支局にナンジャラホイ高校にと情報を求めた。そして今朝になった。
 ぺチェラクチャラとやたらかしましい娘たち。これが真の“かしまし娘”。TVに出ているのはホントは“かしましおばさん”だ。
 そのほとんどの娘たちが、地べたにペタンと座り込んで自慢の大根足を見せびらかしている。ゴミもでる。けたたましい着信音の携帯も鳴る。近隣住民に通報されるのも、もう時間の問題だろう。




 そんな喧騒をよそにグラウンドではサッカー部がアホチャウカ高校を迎え練習試合が行われようとしていた。
 試合前の部室で監督のゲキが飛ぶ。

「いいか。おまえら、今日は5−0で負けてもおかしくない相手だ。しかしだ、おまえらにも意地ってものがあンだろう」

 監督は50前の社会科教諭。皆の気持ちを煽り(あおり)たてる。

 監督の言葉に、単細胞なじゅんぺいは、「おう!」と気勢を上げた。すでに戦闘モード。彼は気持ちも走りもトップスピードに乗るのが誰よりも速い。すぐにその場で早送りの腿(もも)上げを繰り返す。
 直毅も腱(けん)を伸ばした。ニイケン(腱)も伸ばしたなんちて

 試合前に両監督が握手を交わす。アホチャウカの監督は満面の笑顔で

「どうぞお手柔らかに」

 と言った。余裕だ。それがナンジャラホイの監督の癇(かん)に障(さわ)った。人間瞬間湯沸し器である。すでに監督もじゅんぺいモードに院内感染。もともと負けず嫌いだ。苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 まるで小学生がお互いのクワガタを勝負させる前のような神妙な空気が両ベンチに漂う。気をつかう女子マネ。


 円陣を組んで気合をいれると前半の40分が始まった。
 アホチャウカ高校の布陣は4−4−2、こちらは3−5−2だ。直してるし

 コイントスで始めは相手ボール。

 ナンジャラホイは、しょっぱなからエンジン全開。相手のボールを奪おうと走りまくった。ボールを持った相手も強気にラインをあげて攻めてくる。

 縦パスを強引に通してくるので、直毅もニイケンもトラップをかけまくる。前半だけでオフサイド7回の笛が鳴り、主審も笛を吹きながらさすがに苦笑いだ。コリーナさん似のアホチャウカから出した主審は意外にもジャッジは公平だった。

 すると今度はオフサイドトラップを避けてミドルシュートをドッカンドッカン打ってくる。その数は20本を超えた。ボールの音は校舎に当たって戻ってくる。ドッカンドカ〜ンドッカンドカ〜ン

 ピッチ上の指示も校舎の壁に響く。

「もどれもどれっ!」っっれ!っれ!れ!

「よせろよせろよっ!」っっよ!っよ!よ!

 こぼれ玉を拾いに、またはボールを持った相手のコースを潰すために、ナンジャライレブンはフィールドを駆けめぐる。
 普段は追わないようなボールまで全力疾走だ。

 ドッカンシュートの嵐にGKの楢崎君は飛ぶ。右へ左へ左へ右へと体を張って飛んだ。
 それは伝説の“マイアミの奇跡”を彷彿とさせた。まるで川口能活。彼は日本ゴールの守護神。ブラジルの猛攻をスーパーセーブでしのいだ。
 今日の楢崎君はナンジャラホイゴールの守護神と化した。神がかりかと思うようなスーパーセーブで前半を失点1で抑えたのだ。
 彼のユニフォームに土が付くたび、ナンジャライレブンの頭にカッカと血がのぼった。

 ――楢崎のユニフォームに土は付けさせねえ。ついたし

 アホチャウカに先制点を入れられたものの、前半35分に三年の遠藤先輩がニイケンからのクロスをヘッドで決め1−1で折り返した。
 ナンジャラはどんなに劣勢でもワンチャンスをものにした。1−1は1−1だ。数字上では負けてない。

 ハーフタイムに相手ベンチの監督のゲキがこっちまで聞こえてくる。

「バカヤロー! 何やってんだっ! ぁああっ? 帰っちまえっ! 帰れこのタコ野郎っ! くそがぁぁぁぁぁ!!! !」アホチャウカ

 こちらもゲキが飛ぶ。

「戻りが遅い! パスをつなげ! マークをはずすな! 自分の仕事をしろ!」おまえがシロ

 失点を1で抑えて同点とし、ナンジャラにしては上出来な前半のゲームなのに監督は欲が出たのかハードルをあげた。

 水分を浴びるように補給したナンジャライレブンはピッチに戻る。ポジションにつく前にじゅんぺいは直毅に言った。彼は相手DFに足を削られたらしく、軽いビッコを引いている。

「やっと思いだした。アイツだ」

「アイツって誰」

「10番」番号かよ

「10番がどうした」

「あの10番、カンチョー(浣腸)シーガルスの10番だよ」

 ――タケを泣かせた奴だ。

 直毅は小学校最後の大会を思い出した。

 タケは泣かない子だった。

うわ〜ん。終わらなくなりました。つづく>




FW(フォワード)
相手の守備陣を突破して得点をする役目の攻撃中心のプレーヤー。
MF(ミッドフィルダー)
フォワードとディフェンダーの中間のポジション。両ポジションのつなぎ役で攻撃と守備の両方に関わるハーフ。
DF(ディフェンダー)相手フォワードの攻撃を阻止する守備中心のプレーヤー。スイーパー、ストッパー、リベロ、サイドバックなどがこの分類に入る。
GK(ゴールキーパー)
ゴールを守る役目のプレーヤー。自陣のペナルティエリア内では、ボールを手で扱うことができる。他のプレーヤー、審判とは違う色のユニフォームを着なければならない。以上参考URL

フリーペーパークリック 『R25』面白いです。
 
ピッチ
試合を行うグラウンドのことで、タッチラインとゴールラインに囲まれた部分を言う。フィールドは、ピッチの外側の部分も含めたサッカーの試合が行われる場所をさす。参考 URL

クロス(クロス・パス)
グラウンドの右側から左側へ、あるいは左側から右側へというように、グラウンドを横切るパスのこと。参考URL

御用達“宮内庁御用達”と使います。ここでは使い方間違ってますがノリということで。

コリーナさん“さん”は彼の毅然とした態度と公平なジャッジに尊敬の意を表して付けさせていただきました。

“マイアミの奇跡”キーワード『伝説』を使いここで男性読者を獲得したことを確信。男子は『伝説』とか『奇跡』とかほんと好きです。




説明も野暮なんですが年齢を問わず読んでもらいたくて補足します。またお目障(めざわり)かもしれませんが読み仮名も付けます。



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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
参りました。次から次へとテンポ良く話が進むので、ツッコミを入れる隙がありません。正しいツッコミをレポートにまとめて提出しなさい、と暗黙のうちに宿題を頂いた気分です。今日は窓から飛び降りてでも授業を抜け出すことにしましょう。先生、お手柔らかに。
だっくす史人
2007/09/13 01:06
だっくす史人さん
だから宿題はだしてませんて、こんばんは。
なんか話があっちこっちして読みにくいですよね。
花よりメガネ男子のところを書き込み過ぎて終わらなくなりました。
収束するのかしらん。
いつもコメありがとうございます。
つる
2007/09/13 03:47
今日はフレンド欄を見てきました

直毅クンは眼鏡クンなんですか?
最近の若い子で眼鏡かけてる子って??
なんか直毅クンの年齢がばればれ・・(笑)
ところで、つる先生はサッカーがお好きなんですか?
私はこの手のものの理解がいまいちで・・(^^)フウー
mimi
2007/09/13 10:22
こんにちは。
>直毅クンは眼鏡クンなんですか?

え?
もう筆を折りたくなりました。

メガネ男子もきてませんか。
中田英寿とか格好良いの掛けてませんか。あ?掛けてない。

サッカーつまらなくてごめんなさい。まだ続きます。
つる
2007/09/13 15:57
そんな〜サッカーつまらないなんていってませんよぉ(笑)

それに、眼鏡クンなんですかって聞いただけですよ
つる先生ちょと変?
mimi
2007/09/13 16:27
メガネブームは最近きてましたよね。50代のつるさん,とても流行りに敏感で,いつも驚きです。ご家族が多いとありましたね。「きみまろが語るおばさん」ではなく,やっぱり「おばちゃん」のつるさんですね。
本栖子
2007/09/13 18:13
mimiさん
直毅はメガネをかけてます。
何度かそう書いたつもりなので凹みました。

ちょっと変なのは今日アップした記事のせいかもしれませんよ。ご覧ください。
つる
2007/09/14 07:40
本栖子さん
>「きみまろが語るおばさん」
きみまろとは綾小路きみまろのことでいいですか。
おばさんの生態についてギャグにしてるのに、そのおばさんから支持を得るという摩訶不思議な人ですよね。
わたしはまさにそのおばさんだと思いますよ。
なぜなら聞いても笑えないからです。皆笑っているのに。

あ!お笑いで一つひらめきました。
ヒントをありがとう。また来てください。

つる
2007/09/14 08:26

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