ハキダメにつる

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zoom RSS 読書感想文/二人の読書感想文

<<   作成日時 : 2007/08/29 20:31   >>

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二人の読書感想文
担当編集者「昨日の記事なんですが、すこしは夏休みの宿題に困った子どもたちの役に立ったでしょうか」

つる「立たなかったと思うよ」

担「なんでですか?」

つる「それぞれの生活体験が違うんだからさ」

担「生活体験が関係しますか?」

つる「大ありだよ。読書感想文なんて、読んでどう思っただけじゃ、すぐ煮詰まっちゃう。悲しかった〜とか、嬉しかった〜とか、ドキドキした〜とかね。すぐ終わっちゃう」

担「確かに」

つる「だから、そこで終わらない主婦のエンドレストークを利用して――」

担「終わらない主婦のエンドレストークを利用して?」

つる「自分の話にもってっちゃう!」

担「あ〜、自分の話ならいくらでもできますもんね」

つる「自分だったらこうする。自分も行ったことある。自分もこういうことがあった。というふうにね」

担「なるほど」

つる「へんな話、読まなくても書けちゃう」

担「乱暴だな」

つる「記事が参考になったらいいな。すこしはストーリーに触れておいたから」

担「パクられませんかね?」

つる「パクられてもいいのさ。そこに味付けする作業は、自分に当てはめていくことだから、それをパクリとは言わないしね」

担「けっきょく自分でやるしかない」

つる「うん。羽鳥君はどうよ?読書感想文の思い出」

担「ボカァ(僕は)けっこう真面目にやりましたねえ。規定枚数が2枚なら3枚、3枚なら4枚、4枚なら5枚、5枚なら――」

つる「はいはい6枚ね。うわ!お利口ちゃん!」

担「いやな言い方だなあ」

つる「教師受けする感想文てあるね」

担「そうそう。教師がこういうふうに書いて欲しいなあというツボを押さえたヤツですね」

つる「でも、そんなのって読んでて面白いのかなあ」

担「仕方ないんですよ。教師は、集めた読書感想文の中から“第53回青少年読書感想文全国コンクール”用の応募作品を選ぶんですから」

つる「わたしがもし国語教師なら、びっくりするのが読みたいなあ。コンクールどうたらより、『わたし受け』さえすれば、評価は『5』だね」

担「いい加減な教師だなぁ。例えばどんな感想文です?」

つる「例えば、“母のない子と子のない母と”でいうと、こんな感じ。

『ボクは最初から一郎のおとうさんの捨男さんとおとら小母さんの仲はあやしいと思いました。そしたらやっぱりでした』」

担「ちょっ!ちょっ!先生っ!」

つる「『なぜなら復員してきた一郎のおとうさんは超かっこよかったからです』」

担「どこにそんなことが書いてあるんです?」

つる「『狭い土蔵の中で、捨男さんが捕虜になっていたソ連地区の話をするうち、二人はすぐに恋に落ちました。次の日、捨男さんが隣の村の元いた家に戻ったのは近所の人たちの噂から逃(のが)れるためのフェイクだったのです。』」

担「あれはフェイクだったんですか。なんか再読したくなりました」

つる「でしょ?羽鳥君だったらどんなのが読みたい?」

担「ボクですか?ボクだったらそうだなあ。こんなのはどうです?

『一郎は嘘つきです。
仲良しの史郎のおかあさんはリウマチでした。観音さまのお祭りの日に、リウマチが治る本が売っていました。買いたい史郎の手持ちが足りなくて、金を貸したと言ったのは一郎の嘘です。おとら小母さんは騙(だま)せても、この僕は騙せません。
一郎は、史郎に貸したといった十二円で、エロ本を買いました』」

つる「ふーん。ミステリだね。隠された謎があったんだ」

担「『彼が、弟のヨンちゃんと西屋の赤ん坊にブリキの自動車を、小母さんにはゴムひものお土産(みやげ)を買ったのはフェイクです。なぜなら手ぶらで帰るわけにはいかないからです。お小遣いを何に使ったのか聞かれると困るからです。
怪しげな屋台で買ったエロ本を、さすがに持って帰るわけにはいかず、一郎はとりあえず道祖神(さえのかみ)さまの境内(けいだい)にそっと隠しました。
彼はお年頃だったので、それは、しごく当然の事と言えましょう。むしろ、その成長を喜ぶべきなのです』」

つる「途中から創作になってんじゃん。感想文とちがくね?」

担「じゃ、これはどうです?

『ボクは、史郎のおじいさんの畑から夏みかんを盗んだ杏(あんず)の花の咲く村の太一たちを、絶対に許すことができません。なぜなら僕は夏みかんが大好きだからです。ひとごとではないと思いました』」

つる「お・いい調子」

担「『その夏みかんは、史郎のおじいさんが丹精(たんせい)込めて育てた夏みかんでした。甘くておいしい夏みかんを、史郎は一郎の誕生日にあげようとしていました。なのに、おじいさんの甘くておいしいその夏みかんを、杏の花の咲く村の太一たちは、学校の行き帰りに失敬していたのです。あげくのはてに杏の花の咲く村の太一たちは、史郎のおじいさんのことを、

“かぎやのじいさん蛸(たこ)坊主  やかんとならんでぴーかぴか  みかん畑で恥かいた”

などと、はやしたてるのです。いくら史郎のおじいさんがヘッドスキンでも、言っていいことと悪いことがあります』」

つる「“甘くておいしい夏みかん”と“杏の花の咲く村”が多いよ。“夏みかん”と“杏の村”じゃダメなの?」

担「行(ぎょう)かせぎです。規定枚数いっとかないと。黙っててくださいよ。
『これを許すことができるでしょうか。いや許せません。許しませんとも。もし僕が史郎だったら、一郎と達夫と笹一と喜十郎を連れて、即効お礼参りです。なあに、なんたって盗んだ向こうのほうが悪いのですから、かまうこたぁありません。向こうは、太一・正雄・幸次郎・喜一の四人。相手に不足はありません』」

つる「あ〜あ〜」

担「『まず武器を用意します。武器は、おじいさんや一郎たちと、かるこを背負って麦の負いだし(おいだし)に行った時に丸山で拾った、太くて硬い樫(かし)の木の棒です。長さは40センチほどあるでしょうか。こいつで袋叩きにしてやるのです』」

つる「意外とバイオレンスなんだね」

担「――みたいな感じですかね。おおっと、あやうく先生のペースに嵌る(はまる)ところでした」

つる「これに、題名と名前を入れると、だいたい原稿用紙二枚になるよ」

担「自分の生活体験をいれると、あっちゅうまですね」

つる「ほんと」

担「じゅんぺいたちも、三者三様の感想文でした」

つる「うん」

担「ところでヤフオクで読書感想文が\5250で出品されていますよ。」

つる「せちがらい世の中だぁね」

担「まったく」



――おわり――



かるこ物語の中では“竹馬の足を下のほうにつけたような形でしょいひもがついている”と書かれています。

負いだし(おいだし)刈った麦をかるこで運ぶこと

ヤフオクヤフーオークション


<次は文化祭ヴァージョン「理想の高校生」です。>


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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ヤフオクで!(笑)卒論代行業者とか、
なんだかなぁ、って感じですよね。
妄想合戦な感じがいいなぁ。
マル担さんにモデルはいるのですか??
レイバック
2007/08/29 21:43
話がどんどんあらぬ方に行って・・どうなる事かと思いましたが・・
これで一つの物語ができたんだから、言う事無しですよね(笑)・
それに、今回は担当者さんも質問ばかりでなく、物語つくりに参加しているのが味噌ですね(^^
ちょっぴり「母のない子と子のない母と」を読みたくなってきました
もち、ぽっちとも忘れてませんよ・・(笑)
mimi
2007/08/29 22:01
あっここにもレイバックさん見っけ。
>卒論代行業者
本当ですか?わたしの知らない世界だ。
>マル担さんにモデル
は、いません。コメで突っ込まれる前に言い訳君です。
でも時々いるでしょう。丁寧言葉で親しげに寄ってくるけどなんか失礼なことを言ってしまう人。そんな感じがでていたらいいのだけれど。
見てくださってありがとう。
つる
2007/08/29 23:57
mimiさん こんばんは。
見てくださってありがとう。
遠回しに本の紹介をしてみたつもりなんだけど、果たして思惑通りにいったかな。
昨日・今日とポチありがとう。一瞬このプログも陽の目をみるでしょう。
一瞬というところが実にわたしらしい。
つる
2007/08/30 00:03
Thanks for finally talking about >_z6/Pl__z6 nL_B_? /EFu_u_O <Liked it!
Giuseppe
URL
2017/07/25 14:43

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