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zoom RSS 「理想の高校生」高校生ウルトラクイズ選手権〜前編

<<   作成日時 : 2007/07/04 23:00   >>

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photo by NEO HIMEISM 
http://neo-himeism.net/

高校生ウルトラクイズ選手権〜前編
今朝から熱があるのをいいことに布団から起き上がれないでいる。節々が痛む。ただでさえ五十肩で苦しんでいるのに今日は体中の関節という関節が悲鳴をあげている。とうとうリウマチになってしまったのか。さと子は置場のない体を持て余しながらうつらうつらと惰眠をむさぼっている。
いつの頃からだろうか。
さと子の家には理想の高校生が住んでいる。その永遠に年をとらない高校生をさと子は「おにいちゃん」と呼んでいる。おにいちゃんはさと子がピンチの時にやってくる。

おにいちゃんはどう贔屓目(ひいきめ)に見てもいまどきの格好の良い若者ではない。どちらかというとダサいかもしれない。その存在は可もなく不可もなく教室にいたら「そこお前の席だっけ。」というような按配(あんばい)である。
「ハリポタ」の主人公のような眼鏡をかけている。運動も勉強もそこそこでじゃあそれに取って代わるような突出した才能があるかというとそうでもない。リーダーシップもない。どちらかというとぼーとしたような印象で天才と言われればそう見えないこともないがただのアホと言われればそのようにも見える。
それなのにこうもさと子の心をとらえて離さない。そう彼には「いやなところがひとつもない」という取り柄があったのだ。

おにいちゃんはごく平凡な高校生で時々アルバイトをしている。夏は公営プールの監視員と冬は郵便局の年賀状配達だ。このアルバイトが今どきの高校生の定番であるファーストフード店ではないというところは譲れない部分だ。
おにいちゃんは高校3年生の夏休みの時に引退した部活の仲間と共に某TV局の「全国ウルトラクイズ高校生選手権」に出場する。三人一組でチームを組み学校代表として数々の難題や困難にチャレンジするあのクイズ番組である。
おにいちゃんチームはごく普通の公立高校である故、なみいる有名進学校の中ではダークホース的な存在であった。そしてそのチームのメンバーとは高校1年生の時からの気心の知れた仲間でこのあとも一生の友として付き合ってゆくことになるのだがまあそのことはここではいい。
その三人は学力も偏差値も平凡なのだがあえて非凡なところがあるとすれば心のIQといわれるEQが抜群に高いチームであった。もしも成績表にEQ欄があれば余裕で大学推薦をもらえるであろう。たらればの話はさておいて、そんなチームが予選も本選も数々のピンチに遭遇するのだがその度(たび)にお互いの不足を補いあって機知と運でするすると決勝まで勝ちあがってきた。何週かに渡ってクイズ番組が放送されているうちに視聴者はもちろん敗退したチームでさえもこぞって応援したくなるようなそんなチームだった。
そして決勝はラ・〇ール高校との一騎打ちである。舞台は東京国会議事堂前。いまほどこの番組がメジャーではない頃のおはなしだ。

パッパラパー
学生管弦楽団がファンファーレを鳴らすと議事堂の裏からポポーンと花火が打ち上げられた。
会場には対戦相手チームの横断幕が何枚も掲げられていてナンジャラホイ高校の三人にとってそこは完全アウェイだった。なにしろラ・〇ール高校は前年・前々年と優勝しており三連覇がかかっているのだ。応援団も半端じゃない。
「さあいよいよ始まりました『全国ウルトラクイズ高校生選手権』最終決戦!その頂を制するのはラ・〇ール高校かはたまたナンジャラホイ高校か!?運命の女神はどちらに微笑むのでしょうくわぁ!?」
出場選手よりテンションの高い某TV局の若手アナウンサーの紹介でいやがおうにも両チームの選手共緊張が高まる。ナンジャラホイ高校の三人もTVに映るということで地元のジーンズショップで購入したおニューで精一杯めかしこんできたが慣れないオサレはするものじゃないようだ。どうにもかえって居心地が悪い。はじめの通常問題であっというまに5ポイント取られてしまった。じゅんぺいが言う。
「やべー」
ニイケンが言う。
「落ち着こうぜ。」
おにいちゃんが言う。
「集中しよう。」
「OK。」とじゅんぺいとニイケン。

「さあ!どうした!ナンジャラホイ高校!このまま手をこまねいているだけで終わるのか!?君達の実力はそんなものじゃないはずだぁ!さあ見せてくれ!さぁ!さぁ!さぁっ!」

「ははは!」
司会者のハイテンションなそれを聞いておにいちゃんは笑ってしまった。釣られて二人も笑う。
「ははは!」
「はははっ!」

昨夜宿泊先の宿で三人は作戦会議をたてていた。どっちにしろ実力では到底かなわない相手である。だがだからといってここまで来たことに満足してるようでは男がすたる。自分達の持てる力をマックス発揮して得意分野で勝負しようということになった。それが解答ボタンの早押しだった。早押しは百人一首同様に出題されるクイズの何を言わんとしているかぎりぎりのところで読み取り相手よりいち早く解答ボタンを押さなければならない。ただし問題を早飲み込みしてしまって誤答したり、また誤答することでペナルティとして1ポイント差引かれてしまうリスクがある。お手つきで自滅するかもしれないが逆に早押しでポイントをかせぐことによって相手にプレッシャーを与えることもできる。自分との勝負というより相手との駆け引きだ。
実力で勝負しないというより勝負にならないのは不本意だが生きてゆくには相手との兼ね合いも必要だ。

早押しのキーマンはじゅんぺいだった。じゅんぺいはおそろしく反射神経が良い少年だった。サッカー部と陸上部をかけもちしていたのだがとにかくそのスタートダッシュは目をみはるものがある。素人が見たらほとんどフライングだ。トップスピードに達するのが速くサッカー部ではFWだった。ただ悲しいことにそのスピードを維持する持久力がなかったのだがFWにそれは求められない。そういう訳で三人の手の平でで重ねられた解答ボタンの一番下をじゅんぺいが担当する。とにかく押せ!と二人から指令されている。押せばあとの二人がなんとかしてくれるだろう。

そしてニイケンがいる。ニイケンはお父さんの転勤先のイギリスで家族と共に暮らしていたのだが高校1年の夏休みに四国の祖母の家で観たこのクイズ番組に出場するため一人で帰国し日本の高校に転入したという変わり者だ。二年間この日のためだけに広く浅くいろんなクイズの知識を詰め込んできた。視野が広いのでポジションはGK(←この後の都合上DFに変更したい。お願い!)だ。

それからおにいちゃんだ。おにいちゃんは昔から本が好きだった。本ならなんでも良かった。それに本を読んでいれば勉強しているのかと親からのお小言も少なかった。クイズに参加が決まってからはいっそう読書に励んだ。よく「一を聞いて十を知る」と言われるが本を読むおかげで一を聞いて十とはいわないが四か五くらいまで先を読むことができる。なんとなく出題者の意向がわかってしまうのだ。そんなかんじでここまでやってきた。ポジションはDF。



>つづく



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